新年相場が年末からスタートする可能性…米ドル高・円安は続くか【国際金融アナリストが解説】

12/28~1/3の「FX投資戦略ポイント」

新年相場が年末からスタートする可能性…米ドル高・円安は続くか【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

為替相場は、新年入りとともに取引が本格化する傾向がありますが、FX開始直後から第一線で活動している、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏によると、今年は新年入りを待たず、年末から取引が本格化する可能性が高いとのこと。その理由を詳しく見ていきましょう。

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      [ポイント]​

      ・年明け後に相場が大きく動く「新年大相場」が、カレンダーの関係から今年は1週間早く、つまり年末から始まると予想。

      ・大相場となった場合、肝心の方向性は米ドル高と米ドル安、どちらに向かうのか。米ドル/円と高い相関関係が続いてきた米金利との関係で考えると、目先的な「米金利上昇=米ドル高」には限度があるだろう。

      「新年大相場」今年は年末から始まる可能性大

      為替相場は、新年入りとともに取引が本格化する傾向があります。この「新年入り」について、日本では「元日明けから新しい年が始まる」という理解が基本ですが、正月休みよりクリスマス休暇を重視する傾向のある欧米諸国では、クリスマス休暇明けが、実質的な新年の取引スタートと位置付けられることがあります。

       

      そんな両者の「新年入り」の意味合いの違いがはっきり出やすいのが、基本的に世界中の取引がお休みになる1月1日、元日まで比較的営業日数が多いカレンダーになる場合でしょう。

       

      2021年~2022年の場合がまさにそうですが、12月25日のクリスマスは土曜日で、米国市場は基本的に週明けの27日から営業再開となることから、2022年が始まるまで5営業日もあります。このため、クリスマス休暇明けから、実質的な新年相場の取引をスタートする欧米の投資家は、実際に2022年相場が始まるより一週間早く新年の取引を本格化する可能性があるのです。

       

      近年、12月27日が月曜日だったのは、2010年と2004年です。この2年の12月27日~31日の米ドル/円値幅は2円程度となりました。ここ最近の米ドル/円週間値幅平均が1.5円程度ということを参考にすると、年末の割には結構な値動きになっていたようです。

       

      今年の場合も、2022年の元日前に5営業日あり、そのなかで米ドル/円が2円程度の値幅になるなら、目一杯米ドル高方向への動きになった場合は今年の米ドル高値を更新して、116円を上回る計算になりますし、逆に目一杯米ドル安方向に動いた場合は113円割れへ米ドル反落が起こる計算になります。

       

      では、新年相場が一週間前倒しになるとすると、米ドル高に向かうのでしょうか。それとも米ドル安に向かうのでしょうか。

      米ドル/円は一時114円台に…米ドル高・円安は続くか

      先週にかけて米ドル/円は一時114円半ばまでじりじりと米ドル高・円安となりました。これは、根強い米インフレ懸念、その中でも比較的米国株が上昇傾向で推移したことから、米金利が上昇し、それに伴い日米金利差米ドル優位が拡大したことに連れた面が大きかったでしょう(図表1参照)。

       

      出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
      [図表1]米ドル/円と日米2年債利回り差 (2021年12月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

       

      米ドル/円は、米国の超金融緩和政策の転換が意識され始めた今年6月ごろから、金融政策を反映する日米2年債利回り差との相関性が高まりました(図表2参照)。12月に入り、一時金利差米ドル優位拡大でも米ドルが反落し、両者の関係がかい離する場面もありましたが、基本的には、日米2年債利回り差次第の状況が続いているようです。

       

       

      出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
      [図表2]米ドル/円と日米2年債利回り差 (2021年1月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

       

      では、そんな日米金利差の主役である米2年債利回りはさらに上がるのでしょうか。米2年債利回りの90日MA(移動平均線)からのかい離率は、一時のプラス100%超から、足元では60%程度まで縮小しています(図表3参照)。ただ、同かい離率のプラス60%程度といった水準は、経験的には短期的な「上がり過ぎ」懸念がまだまだ強い可能性を示しているのです(図表4参照)。

       

       

      出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
      [図表3]米2年債利回りの90日MAからのかい離率 (2021年1月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

       

       

      出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
      [図表4]米2年債利回りの90日MAからのかい離率 (2010年~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

       

      上述したように、2年債利回りなど米金利の目先的な上昇には、自ずと限度があるのでしょう。よって、日米金利差米ドル優位拡大に連れた米ドル高・円安も、目先的には自ずと限度があるといった見通しになりそうです。

       

      以上見てきたことについて、整理してみましょう。

       

      ①新年相場は大きく動く傾向があるが、クリスマス休暇明けから取引を本格再開する傾向のある欧米の投資家は、クリスマス休暇明けから年明けまで営業日数が多い場合、新年入り前に、新年相場を先取りするように取引を本格化させる可能性がある。

      ②相場が動き出すのであれば、方向性の鍵は米金利となりそう。たとえば米2年債利回りの場合、90日MAからのかい離率などを見る限り、短期的な「上がり過ぎ」懸念の強い状況が続いている。その意味では、目先的な「米金利上昇=米ドル高(円安)」にも自ずと限度があるだろう。

       

       

      吉田恒

      マネックス証券

      チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

       

       

      ※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

       

       

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