(※画像はイメージです/PIXTA)

痛みのコントロールに用いられる「医療用麻薬」。痛みの緩和に有効な薬である一方、「中毒になる」「寿命が縮まる」といった誤解が広まっている現実があります。在宅医が解説します。

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    中毒になる?「医療用麻薬」怖くない

    ■医療用麻薬は怖くない

     

    「麻薬」という言葉に不安を感じる方もいらっしゃると思います。ですが、医療用麻薬は、安全に使うことができるとてもよいお薬です。症状を緩和するためになくてはならないお薬なのですが、「中毒になる」「寿命が縮まる」「モルヒネを使ったらもう終わり……」といった誤解をされていることがよくあります。

     

    また、医療用麻薬は、がんの痛みに対してのみ使われるものと思われがちですが、がん以外の病気でも、普通の痛み止めでとることができない痛みがある場合や、難病の方の息苦しさを緩和するために使われることがあります。

     

    ですから「亡くなる前に使う薬」ではありませんし、「モルヒネですっと逝かしてもらう」という薬でもありません。

     

    痛みや息苦しさというのは、本当につらいものです。そのつらさを取りのぞくことは最優先されるべきことです。痛みがつづくと眠れませんし、食べられなくなることもありますし、いつもの日常生活をおくること自体がつらくなってしまいます。痛みは心のつらさにもつながります。痛みがある中で、何かを考えることはむずかしくなりますし、この痛みがいつまで続くのかという不安は、痛みそのものよりつらいと言われるほどです。

     

    ですから医療用麻薬を適切に使って、そのつらい症状をできる限りとりのぞいていくことが大切です。患者さんの生活の質が改善するのはもちろん、気持ちも前向きになって、生きていることを楽しむ余裕も生まれくるのではないかと思います。

     

    ■そもそも緩和ケアとは

     

    「緩和ケア」の理解にも、少し誤解があるかもしれません。

     

    緩和ケアは、がんの患者さんや、死が近づいている人だけのものだと思われがちなのですが、そうではありません。

     

    緩和ケアというのは、痛みをはじめとするつらい症状をやわらげて日々のQOL(生活の質)を向上させるためのケアですから、死期が近い患者さんだけでなく、どんな病状にある人にも必要とされている医療です。

     

    治療ができなくなったら、緩和ケアに「切りかえる」という考え方が主流だった時代もありました。ですが現在は、緩和ケアと治療は「最初から並行しておこなうもの」という考え方に変わっています。つらい症状をやわらげるケアは、どんな病気であっても、どの時期であっても行われるべきケアといえます。

     

    ですから、がんと診断されたときに、すでに痛みがあるようだったら、最初から痛みをやわらげるために医療用麻薬を使うことがあっても問題ありません。緩和ケアは、決して死を待つ人のケアではないということを、知っていただきたいと思います。

     

    「つらい」「痛い」「苦しい」という状態は、気力も体力も奪います。早い時期から上手に薬を使って、つらさや痛みをしっかりとって暮らしていたほうが、生活の質がよくなるだけでなく寿命も延びたという研究結果もでています。つまり、早期から緩和ケアをしっかり受けるほうが長生きにつながるということになります。

     

    緩和ケアは、最期のときだけのケアではありません。痛みやつらさのない生活をおくるために、早期から開始することが大切なケアです。

     

    中村 明澄
    在宅医療専門医
    家庭医療専門医
    緩和医療認定医

     

     

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    ※本連載は中村明澄氏の著書『「在宅死」という選択』(大和書房)より一部を抜粋し、再編集した原稿です。

    「在宅死」という選択~納得できる最期のために

    「在宅死」という選択~納得できる最期のために

    中村 明澄

    大和書房

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