相続手続きを回避できる「遺言代用信託」のメリット・デメリット【行政書士が解説】 (写真はイメージです/PIXTA)

「遺言代用信託」を活用すると、遺言書を作成せずとも指定された人に財産を引き継ぐことができます。本記事では、煩雑な相続手続きを回避できる「遺言代用信託」のメリット・デメリットについて、行政書士法人ストレートの大槻卓也行政書士が解説します。

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「遺言代用信託」とはなにか?

遺言代用信託は、生前に自身(委託者)の財産を他人(受託者)に信託して、生存中は委託者自身を受益とします。

 

そして、自身が死亡した後は子や配偶者等を受益者とすることで、自身の死亡後における財産分配を達成しようとする契約です。遺言代用信託は、生前行為をもって自身の死亡後の財産承継を図る死因贈与契約と類似しています。

 

遺言代用信託には、以下の2種類があります。

 

1.委託者の死亡のときに受益者となるべき者として指定された者が受益権を取得する旨の定めのある信託
2.委託者の死亡のとき以後に受益者が信託財産に係る給付を受ける旨の定めのある信託

 

■遺言代用信託契約書の必要書類と手続きの流れ


作成書類……遺言代用信託契約書
添付書類……公正証書で作成する場合は委託者と受益者の戸籍謄本(全部事項証明書)・委託者と受託者の印鑑証明書等
作成時期……任意
作成者……委託者および受託者(公正証書で作成する場合は公証人に嘱託)
作成場所……公正証書で作成する場合は公証役場
作成費用……公正証書で作成する場合は目的価額に応じた所定の手数料

遺言代用信託のメリット・デメリット

遺言代用信託には相続の手続きを回避できる他にもさまざまなメリットがあります。一方、信託できる財産は金銭のみなど、注意すべき点についても知っておきましょう。

 

メリット:相続手続きの手間を回避できる

 

遺言代用信託は、煩雑で時間のかかる相続手続きを回避するために利用されることが少なくありません。

 

たとえば、法定相続の場合、死亡により金融機関が凍結した預貯金の払戻しを受けるには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等を揃えて金融機関に提出しなければなりません。

 

しかし、遺言代用信託では財産は生前に受託者に信託されているため、このような手続きは要りません。また、相続手続きにはある程度の時間が必要ですが、遺言代用信託を設定しておけば、死亡直後に必要となる葬儀費用や遺族の生活費等を確保することができるのです。

 

遺言代用信託によって、相続手続きを経ずとも被相続人の死亡後すぐに、自身の葬儀費用や配偶者の生活費等を信託財産から工面することができます。

 

遺言代用信託にはこのようにさまざまなメリットがあります。

 

そのため、信託銀行等が提供する遺言代用信託商品の利用件数は飛躍的に増加しているといいます。こうした商品は金銭信託で、委託者が年金の不足額を補う定期金や思いがけない出費の必要が生じたときの一時金等を受領する受益権を自ら取得します。

 

そして、委託者が死亡すると、直ちに遺族等に受益権を承継させ、委託者の葬儀費用や遺族等の生活費として金銭を給付させる等の仕組みとなっています。もちろん遺言代用信託は、信託銀行等だけではなく家族が受託者となることもできます。

 

また、専門職が委託者の死後事務の委任を受けて、その一環として受託することもあり得るでしょう。

 

デメリット:信託できる財産は金銭のみ

 

遺言代用信託で信託できるのは金銭のみであり、不動産や株式などの財産は信託できません。また、信託できる金額には最低額や上限が設けられています。預貯金が多額である場合は遺言代用信託だけで引き継ぎを完結させることはできないでしょう。

 

また、銀行によっては契約時に多額の手数料が必要となる場合もありますが、遺言代用信託は原則として中途解約をすることができません。解約する場合は解約手数料がかかります。

 

遺言代用信託の利用は、あらかじめ相続財産の全体を把握した上で検討する必要があるでしょう。

 

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行政書士法人ストレート 代表行政書士

東京都日野市出身。
高校を卒業して建設業・飲食業などの仕事を経験したあとに行政書士試験合格。
相続手続・建設業許可申請に強みがあり、「お客様に寄り添ったお客様目線のサービス」を提供している。

行政書士法人ストレート(https://www.straight-office.com/)
行政書士法人ストレート 相続専門サイト(https://souzoku-straight.com/lp/)

著者紹介

連載行政書士法人ストレートの大槻卓也行政書士が「相続・遺言のポイント」を直球解説!

本記事は行政書士法人ストレートのコラムを転載したものです。

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