インドネシア:ガルーダインドネシア航空の再生手続開始 (※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、西村あさひ法律事務所が発行する『インドネシア:ガルーダインドネシア航空の再生手続開始』を転載したものです。※本ニューズレターは法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については当該案件の個別の状況に応じ、日本法または現地法弁護士の適切な助言を求めて頂く必要があります。また、本稿に記載の見解は執筆担当者の個人的見解であり、西村あさひ法律事務所または当事務所のクライアントの見解ではありません。

本ニューズレターは、2021年12月16日までに入手した情報に基づいて執筆しております。

 

Covid-19のパンデミックの影響で業績が悪化した企業が増加したことから、インドネシアにおいて支払い停止手続きといわれる再生手続きの利用が増加しています。このような状況において、インドネシアの国有航空会社であるガルーダインドネシア航空(以下「ガルーダ」といいます。)についても、2021年12月9日に再生手続きが開始され、同月14日に以下のスケジュールが記載された新聞公告が出されました。

 

 

インドネシアの再生手続きは、債権届出に必要な書類が多い上に債権届出期間が短いことから、外国企業が対応することが困難な場合も多いですが、以下ではガルーダの事例を基に、債権者がどのような対応を取る必要があるかを解説します。なお、ガルーダの場合、債権者が多数になると見込まれることから、届出書類の様式などがダウンロードできるウェッブサイト(https://www.pkpu-garudaindonesia.com/)が開設されています。

1. 債権届出の準備

2021年12月14日に新聞公告が行われてから、2022年1月5日の債権届出期限までに債権者は、以下のような書類を準備し、管財人に提出する必要があります。なお、通常の再生手続きでは、委任状などの原本を管財人に提出する必要があることから、日本からインドネシアへの郵送に必要な時間も考慮する必要がありますが、本件ではオンラインでの提出も認められるようです。

 

●インドネシアの弁護士への委任状:委任状には代表権者が署名する必要があります。委任状が日本で署名される場合には、委任状を日本の公証人役場で公証する必要があります。また、インドネシア大使館で公証済みの委任状を認証することが求められる可能性もあります。

 

●債権届出書

 

●債権や担保権を証明する証拠:契約書や担保権設定に関する書類、債権残高や支払いを示す書類を提出する必要があります。証拠がインドネシア語で作成されていない場合には、インドネシアの宣誓翻訳家による翻訳を作成する必要があります。

 

●債権者の定款:定款についても翻訳がない場合には、翻訳を作成する必要があります。

 

ガルーダの再生手続の債権届出期間はクリスマスや年末年始を含んでおり、日本及びインドネシアの営業日が限られることから、早急に債権届出の準備を開始することが望まれます。

2. 管財人との面談

債権届出を行った後、2022年1月19日の債権確認までに、管財人に債権や担保権を証明する証拠の原本を提示し、債権に関する説明を行うための管財人との面談が設定されることが想定されます。

3. 再生計画案への賛否の決定

債権者が確定した後、債権者に対する返済条件などを定める再生計画案が作成されます。当職らの経験上、再生計画案は債権者集会直前まで開示されず、開示される範囲も自己の債権の返済条件に限定されることも多いです。債権者は、時間や情報が限られている中で、再生計画案への賛否の判断を迫られることを覚悟しておく必要があります。

 

管財人が2022年1月20日の債権者集会までに再生計画案を作成できない場合、管財人は、債権者集会で支払停止期間の延長を承認するよう求めることが考えられます。支払停止期間の延長は、225日まで認められます(当初の期間とあわせて270日以内に再生手続きを完了する必要があります)。

 

吉本 祐介
西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士

 

西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士
インドネシアプラクティスパートナー

2001年、東京大学法学部第一類 (LL.B.)卒業。2002年、第一東京弁護士会登録。2009年、ニューヨーク州弁護士登録。2010年、Columbia University School of Law (LL.M.)卒業。

2008年~2009年、三井物産株式会社 法務部出向。2010年~2011年、米国三井物産株式会社ニューヨーク本店へ出向。2012年、Ali Budiardjo, Nugroho, Reksodiputro法律事務所 (ジャカルタ)。

アジアプラクティスチームのパートナーであり、日本企業のインドネシアをはじめとしたアジアへの進出、アジアにおける訴訟・紛争などを中心に担当。その他、地域を問わず贈収賄やカルテルなどのコンプライアンス問題も幅広く手がける。

【主な著書等】
『個人情報保護法制大全』(共編著、商事法務、2020)、『企業労働法実務相談』(共編著、商事法務、2019)、『M&A法大全〔全訂版〕(上)・(下)』(共編著、商事法務、2019)、『インドネシアのビジネス法務』(共著、有斐閣、2018)、『アジア進出・撤退の労務』(共編著、中央経済社、2017)、『資産・債権の流動化・証券化【第3版】』(共編著、金融財政事情研究会、2016)、『危機管理法大全』(共編著、商事法務、2016)、『会社を危機から守る25の鉄則』(共編著、文藝春秋、2014)、『西村高等法務研究所叢書(8)アジア進出企業の法務 - M&A法制を中心として』(共編著、商事法務、2013)、『新株予約権ハンドブック 〔第2版〕』(共編著、商事法務、2012)、『新株予約権ハンドブック』(共編著、商事法務、2009)、『〔新金融実務手引シリーズ〕資産・債権の流動化・証券化』(共編著、金融財政事情研究会、2006)、『法定公告ABC』(共編著、日本経済新聞社、2003)

著者紹介

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   吉本 祐介

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