Ⅰ ベトナムにおける贈収賄規制の概要、最近の収賄罪に対する死刑の廃止
執筆者:井浪敏史、グエン・ティ・タン・フォン
1.はじめに
ベトナムは、東南アジアの国々の中でも人口が多い国の一つであり、東南アジアで第3位です。また、経済が急速に拡大していること及び外国からの直接投資が堅調であることが広く知られています。そのような活発な経済の成長、地理的な有利性及び積極的な自由貿易協定の存在もあり、日本及び世界の国々の投資先として非常に魅力的な国となっています。
しかし、同国における贈収賄のリスクは依然として大きな課題です。各国の腐敗度合いを示す代表的指標であり、Transparency Internationalが毎年公表しているCorruption Perceptions Index(腐敗認識指数)の2024年版において、ベトナムは指数40で180か国中88位に位置付けられており、公共部門における汚職リスクが高いと認識されていることを示しています。
ベトナム法上、刑法(Criminal Code)及び汚職防止法(Law on Anti-Corruption)において、贈収賄は厳しく規制され、重い刑罰が科されています。最近まで、ベトナム法上、収賄罪についての死刑があり得たことからも、ベトナムにおいて贈収賄罪は非常に重大な犯罪であると認識されてきたことがわかります。
2.ベトナムにおける贈収賄規制の枠組み
ベトナムにおける贈収賄を規制する主な法令には、汚職防止法※1や2015年刑法※2、及びその関連施行規則などがあります。具体的に、汚職防止法は、権限を有する地位にある者による、公共及び民間の両者におけるいかなる汚職行為も明示的かつ厳重に禁止する※3ことによって、(贈収賄を含む)汚職的慣行を防ぎ法令遵守を強化することを目的とした、法的枠組みを定めています。特に、権限を有する地位にある政府機関及び政府関係者が、その公務に関連して、利害関係を有する個人又は法人から贈答品、接待その他の利益を受けることを禁止しています※4。一方で、贈収賄関連の犯罪は2015年刑法において幅広く定義され、取り締まられています。
※1 国会による2018年11月20日付Law on Anti-Corruption No.36/2018/QH14(以下「汚職防止法」といい、その後の改正を含む)。
※2 国会による2015年11月27日付Criminal Code No.100/2015/QH13(以下「2015年刑法」といい、その後の改正を含む)。
※3 汚職防止法2条及び8.1条。
※4 汚職防止法22.2条及び汚職防止法(その後の改正を含む)の複数条項及び施行措置の詳細を定めた2019年7月1日付政令第59/2019/ND-CP号25条。
以下は、ベトナム法において禁止される主な贈収賄行為(賄賂の授受及び仲介をいいます)についての重要な点をご紹介します。
・ 適用範囲:公共部門※5及び民間部門※6の両部門におけるあらゆる贈収賄行為。
※5 公共部門とは政府機関、政治組織、社会政治的組織、人民軍、公共サービス機関、100%国有企業その他の国が資金提供又は管理を行う組織をいいます(汚職防止法3.9条)。
※6 民間部門には前記の公共部門以外の企業及び組織全てが含まれます(汚職防止法3.10条)。例えば、外国直接投資企業は民間部門にあたります。
・ 相手方当事者:権限を有する地位にある者で、国家公務員や非政府企業の管理職等、特定の任務又は公務を行うために、選任、選出、雇用、委託等された者(有給か無給かを問わない)であり、当該任務又は公務を行う上で一定の権限を有する者をいいます※7。
※7 汚職防止法3.2条。
・ 禁止行為:直接か仲介者を通してかを問わず、賄賂提供者の依頼に応じて又はその利益のために、一定の行為の実施又は不作為についての権限を有する地位にある者に対し、賄賂を提供若しくはその約束を行い(贈賄行為)、又は提供者から賄賂を受領し、若しくは受領しようとする(収賄行為)こと。賄賂を仲介する行為も厳重に禁止されています※8。
※8 汚職防止法2条及び2015年刑法354条、364条及び365条。
・ 「賄賂」の概念及び刑事責任の金額基準
一般的に、ベトナム法上の「賄賂」の概念は広範囲にわたっています。形式を問わず(有形か無形かを問わず)ほぼ全種類の利益のやり取りが広く含まれます。また、場合によっては、賄賂の金額が法定の基準額を下回るときでも、それが何度も授受されたときは刑事責任の対象となることがあります。具体的には次のとおりです。
・賄賂の形式について、「賄賂」の概念には有形の利益(金銭、財産その他の有形の利益等)※9と無形の利益(役職や賞の授与の提案、選出、選任、卒業承認の約束、トレーニング又は海外赴任の機会、性的賄賂等)※10との両方が含まれる。
※9 最高人民裁判所裁判官会議による2020年12月30日付決議第03/2020/NQ-HDTP号(以下「決議第3号」という)3.3条。
※10 決議第3号3.4条。
・金額基準については、賄賂の金額にかかわらず行政上の責任が課され得る※11一方で、刑事責任は通常(a)200万ドン(約75米ドル)以上の有形の賄賂、又は(b)金額にかかわらず無形の賄賂について科される※12。とりわけ、犯罪行為(賄賂の提供、収受又は仲介の犯罪)が複数回行われた場合、その賄賂の金額が各回200万ドン未満であり刑事責任の対象になるケースに該当しなくても、各行為について刑事責任を問われておらず、時効期間も経過していなければ、賄賂の合計金額が200万ドン以上であれば、賄賂の合計金額に応じて起訴され得る※13。
※11 社会の安全、治安、秩序、社会悪、火災予防及び消火、救助、家庭内暴力の防止と対策に関する規制違反に対する罰則を定める、2021年12月31日付政府政令第144/2021/ND-CP(その後の改正を含む)(「政令第144号」)9.3条(d)及び21.3条(c)。
※12 2015年刑法354条、364条及び365条。
※13 決議第3号8.1条。
この点、2024年12月30日付判決第1189/2024/HS-PT号において、ハノイ人民裁判所は、ハノイ所在のバイク検査センターの元取締役に対して、車両点検不良の見逃し及び不適格車両に関する文書の公証を行った見返りとして、各回20万ドンから30万ドンの少額賄賂を繰り返し受け取り、合計金額が7,000万ドンに上った事案につき、32か月の禁固(執行猶予付き)を言い渡した。
同事案は、少額の日常的に提供される賄賂であっても、十分な証拠の裏付けがあれば起訴及び禁固の対象となり得ることを明確に示している。また、違反の規模又は頻度を問わず、ベトナムにおける汚職行為に対する執行についての断固たる姿勢を強調するものといえる。
・ 責任の対象:個人と組織の両者が、贈収賄行為に適用される行政罰の対象となり得ます。特に、(a)組織が民法の定めに基づく法人又は法律の定めに基づき設立された組織であること、及び(b)代表者、組織を代理して行う任務が割り当てられた者、又は組織の指示、管理、任命若しくは承認に基づき行動する者が行った違反行為であり、その行為が、国家管理の分野における行政違反の処罰に関する政令※14に定められた行為であること、の両者の要件を満たす場合には、当該組織も行政罰の対象となります。そのため、従業員による贈収賄が組織を代理して、又は組織の指示、管理、任命又は承認に基づいて行われた場合、当該組織も行政罰の対象となり得ます。一方、贈収賄罪における刑事責任の主体は個人のみである※15ため、従業員が贈収賄罪を犯し起訴されても企業又は組織は刑事責任の対象とはなりません。
※14 行政違反の取扱いに関する法律の特定の条項及び施行の詳細を記載した2021年12月23日付政令第118/2021/ND-CP号(その後の改正を含む。)3.2条
※15 2015年刑法76条。
・ 罰則
贈収賄行為は、違反行為の性質及び重大さに応じて行政罰又は刑事罰の対象となります。行政罰について、個人の場合は800万ドン以下、組織の場合は1,600万ドン以下の罰金の対象となります※16。これに対し、贈収賄罪に対する刑事罰には、2億ドン以下という比較的高額な罰金又は関連財産の一部若しくは全部没収、最長20年という長期の禁固、及び終身刑が含まれます。また、違反者は、1年から5年の間、一定の役職に就くことができなくなるなど、追加的な制裁の対象となることもあります※17。
※16 政令第144号9.3条(d)及び21.3条(c)。
※17 2015年刑法354条、364条及び365条。
3.最近の収賄罪に対する死刑の廃止
ベトナムは、収賄罪に対する死刑を定める世界で数少ない国の一つでした。しかしながら、近時、2025年7月1日に施行された2015年刑法の改正(以下「2025年刑法改正」といいます)等に基づき、同刑罰は正式に廃止されました。これにより、現在、収賄罪に対する最も厳しい罰則は終身刑となっています。この法制改正は、ベトナムの刑事政策が、より人道的アプローチを採り、より国際的な水準に沿ったものに近づける姿勢に転換している状況を反映しています。
歴史的経緯として、収賄罪に適用されていた死刑は、1991年8月16日に施行された、1985年刑法の改正※18により最初に採用され、2025年刑法改正で廃止されるまで、2015年刑法上の定めとして維持されてきました。
※18 1985年刑法改正に関する国会による1991年8月12日付法律第55-LCT/HDNN8号2.17条。
このような改正は、司法改革戦略(2020年を目標とするもの)に関する2005年6月2日付共産党中央委員会決議第49-NQ/TW号が定める、死刑適用対象の絞込みへ向けた継続中の司法改革の取組みにおける重要なマイルストーンであると考えられます。また、ベトナムは、市民的・政治的権利に関する国際規約(ICCPR)の締約国でもあります。このような法改正の背景にかかわらず、2025年刑法改正に基づく、収賄罪に対する死刑の廃止については懸念を示す意見も生じています※19。
※19 批判の意見としては、このように重大な違反に対して極刑を排除することは、刑法の抑止効果を弱め、特に甚大な不正利益が絡む要人の汚職と闘う努力を弱めることになり得ると主張されています。また、当該改正によって、違反者が寛大な措置を受けていると捉えられた場合には、刑事司法制度への国民の信頼及び公平性についての認識が損なわれるのではないかという不安も示されています。いずれにしても、2025年刑法改正は2025年7月1日に施行されたばかりであり、同改正による犯罪の防止、抑止及び刑罰への影響について最終的に結論付けるのは時期尚早と考えられます。改正後の規制によっても、ベトナムにおける法的及び社会的抑止力が十分保たれるか評価するためには、より長期的な観察が必要となります。
いずれにしても、ベトナム法に基づき最近まで収賄罪に死刑が適用されていたという事実は、ベトナムにおいては贈収賄罪が非常に重大な犯罪であると考えられてきたことを示しています。
4.最後に
上記で説明したとおり、ベトナムでは、罰金及び長期の禁固(歴史的にみると収賄に対する死刑)等の厳しい制裁を科すことにより、公共及び民間の両部門において贈収賄が厳格に規制されています。
近時、収賄に対する死刑が最近廃止されたことについては、より人道的な法的アプローチへの転換が示されているものの、複数回・少額での贈賄に対しても起訴があり得ることをはじめ、ベトナムにおいて厳格な執行が行われている点に変わりはありません。ベトナムで事業を行う企業にとって、深刻な事態の発生を避けるためには、贈収賄のリスクを理解することが重要と考えられます。
以上
Ⅱ 最近の危機管理・コンプライアンスに係るトピックについて
執筆者:木目田裕、宮本聡、西田朝輝、澤井雅登、藤尾春香
危機管理又はコンプライアンスの観点から、重要と思われるトピックを以下のとおり取りまとめましたので、ご参照ください。
なお、個別の案件につきましては、当事務所が関与しているものもありますため、一切掲載を控えさせていただいております。
【2025年9月18日】
金融庁、インサイダー取引規制の対象者の範囲拡大を検討
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/shijoseido_wg/gijishidai/20251015.html
金融庁の金融審議会は、「市場制度ワーキング・グループ」(以下「WG」といいます。)において、インサイダー取引規制の対象者の範囲拡大等に関する議論を実施しています。第2回WG(2025年10月15日)の事務局説明資料では、第1回WG(2025年9月18日)において、以下のような議論がされていたことが示されています。
・インサイダー取引規制の対象者の範囲について、現行法ではインサイダー取引規制の対象とされていない会社関係者や公開買付者等関係者からの第二次情報受領者(金融商品取引法166条3項、167条3項参照)に規制を拡大することについて、制度の実効性を保つために望ましい等の肯定的な意見と、規制範囲が不明確となり得る等の否定的な意見があったこと。そして、第二次情報受領者への規制の拡大については、現時点では慎重に考える必要があること。
・インサイダー取引に対する課徴金の水準の引上げについて、課徴金勧告事案や刑事告発事案が増勢にあること等から引上げを検討することが望ましいとの肯定的な意見と、課徴金の引上げは比例原則に反する過剰な結果を招くおそれがある等の否定的な意見があったこと。課徴金については、インサイダー取引や、報告書の不提出・虚偽記載といった抑止力を高めることが必要な項目について、算定方法を見直しつつ、不公正取引による社会的不利益の周知が重要であること。
・金融庁の調査権限について、開示検査や証券検査を実施する場面や、外国金融商品取引規制当局に対して調査協力を求める場面において、出頭を求める権限を追加することとしてはどうか。
・手続の円滑化・迅速化を図る観点から、刑事訴訟手続のデジタル化と同様、犯則調査過程で作成する書類の電子化、裁判官が発付する許可状の電子化、電磁的記録提供命令の規定の整備等を行うこととしてはどうか。
【2025年9月24日】
総務省、オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会中間論点整理を公表
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban18_01000271.html
総務省は、2025年9月24日、オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会における議論の結果や、国民からの意見募集の結果を踏まえ、中間論点整理を公表しました。
本中間論点整理においては、オンラインカジノに係るアクセス抑止の手段として、フィルタリング※20、情報の削除※21、ジオブロッキング※22、CDNにおける対応※23、検索結果の非表示・警告※24、ドメイン名の利用停止※25、ブロッキング※26といった手段が列挙され、各手段について、主な法的課題や技術的課題、実効性等が検討されています。
※20 ソフトウェアをインストールするなどして、利用者の端末等において、利用者や保護者の同意に基づき、特定サイトの閲覧を制限する機能をいいます。
※21 サイト運営者に対して場の提供等を行う事業者が、利用規約等に基づき違法・有害情報を削除することをいいます。
※22 サイトを開設する事業者が、IPアドレス等に基づいて利用者が所在する国・地域を判別し、特定の国・地域からのアクセスを制限する方法をいいます。
※23 CDN(ContentsDeliveryNetwork)とは、世界中のキャッシュサーバにサイトをコピーし、利用者の近くのキャッシュサーバから配信することによって快適なレスポンスを実現する仕組をいいますが、CDNにおける対応としては、CDN事業者が、利用規約等に基づきキャッシュサーバから違法・有害情報を削除することや、サイト運営事業者との契約を解除することなどが想定されています。
※24 検索事業者が、特定のサイトを非表示にしたり、警告表示を行ったりするものをいいます。
※25 ドメイン名の登録やDNS(DomainNameSystem)サーバの運用を行うレジストリが、特定のドメイン名の利用を停止するものをいいます。
※26 ISP(InternetServiceProvider)が、利用者の同意なく、特定のIPアドレスへのアクセスを強制的に遮断するものをいいます。
今後の検討等について、本中間論点整理は、オンラインカジノの利用が違法ギャンブルであるという前提に立ち、官民の関係者が協力し、包括的な対策を講じることや、包括的な対策の中で、アクセス抑止についても有効な対策の1つとして検討すべきとしています。
また、ブロッキングについては、「通信の秘密」や「知る自由・表現の自由」に抵触しうる対策であるため、「実施の必要性を判断するに当たっては、今後の規制環境や犯罪実態の変化等を踏まえ、他の権利制限的ではない手段が十分に尽くされたといえるか検証するとともに、オンラインカジノ固有の権利侵害の内実を突き詰めた上で、ブロッキングにより得られる利益が失われる利益と均衡しているかを検証していくべき」などとしています。
【2025年9月24日】
公正取引委員会、官製談合防止に向けた発注機関の取組に関する実態調査の開始について(事務総長定例会見記録)
https://www.jftc.go.jp/houdou/teirei/2025/250924.html
公正取引委員会は、2025年9月24日に実施した事務総長定例会見において、官製談合防止に向けた発注機関の取組に関する実態調査の開始に関する案内を行いました。
本定例会見によれば、前回の調査を行った2017年度以降も、事業者間での入札談合はもとより、依然として発注機関における対応が、入札における公正かつ自由な競争を確保する上で適切とはいえないとされた事例が発生しているほか、職員による秘密情報の漏えいなどの事件(官製談合防止法8条違反)が後を絶たない状況にあることを踏まえ、今般、発注機関による官製談合の防止のための取組について、8年ぶりに実態調査を実施することにしたとのことです。
今回の調査の特徴としては、前回と同様の調査項目に加え、発注や契約に関するコンプライアンスの監査実績や、国の本府省庁等に関しては、地方支分部局へ具体的な取組を実施するように周知をしているかなどの新たな項目も含めることが想定されているとのことです。また、具体的なスケジュールについては、2025年9月19日に、官製談合防止法の対象となっている合計2,474の発注機関(内訳は、国が485、政府出資法人が201、地方公共団体が1,788)に対してアンケート調査票を発送しており、10月下旬にかけて、アンケート調査を実施する予定とのことです。
なお、調査結果については、取りまとめ次第、公表予定とのことです。
【2025年9月25日】
証券取引等監視委員会、不正会計リスクの高い企業を自動的に抽出するシステムの利用開始
2025年9月25日付け日本経済新聞朝刊
2025年9月25日付け日本経済新聞朝刊によれば、証券取引等監視委員会は、同年4月から、過去に課徴金納付命令を勧告した事例等をもとに有価証券報告書等の記載を分析し、不正会計を行っているリスクが高い企業を自動的に抽出するシステムの活用を開始したとのことです。本報道によれば、上記システムは、有価証券報告書等に記載された上場企業の財務情報から、業績の急回復など財務諸表の数値の急激な増減の有無や、「継続企業の前提に関する注記」※27の記載の有無などを読み取り、リスクの高低を判断しているとのことです。
※27 「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する場合であつて、当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるとき」に、財務諸表(連結財務諸表)において「継続企業の前提に関する注記」を行うこととされています(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則8条の27、149条等)。
【2025年9月29日】
金融庁、暗号資産のインサイダー取引規制導入を検討
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/angoshisanseido_wg/gijishidai/20250929.html
金融庁の金融審議会は、「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」(以下「WG」といいます。)において、暗号資産のインサイダー取引規制導入等に関する議論を実施しています。第3回WG(2025年9月29日)の事務局説明資料では、インサイダー取引を含む不公正取引規制の基本的な方向性として、以下のような内容が記載されています。
・暗号資産のインサイダー取引に関し、IOSCOによる勧告や欧韓での法制化等の国際的な動向、海外において実際にインサイダー取引への法執行事案が生じていることを踏まえ、我が国においても暗号資産のインサイダー取引規制の整備を検討することが適当ではないか。
・インサイダー取引を含め不公正取引規制に対する実効的なエンフォースメントのためには、暗号資産交換業者による売買審査や、自主規制機関・証券取引等監視委員会による市場監視体制を強化していくことが適当ではないか。
・不公正取引規制の実効性を確保し、違反行為への抑止力を高めていく観点から、上場有価証券等の不公正取引に係る犯則調査権限・課徴金制度と同様に、暗号資産に係る不公正取引についても犯則調査権限・課徴金制度の創設を検討することが適当ではないか。
・その他、暗号資産の不公正取引規制を検討するに当たって、留意すべきことはあるか。
【2025年9月30日】
消費者庁、景品表示法に基づく法的措置件数の推移及び措置事件の概要を公表
https://www.caa.go.jp/notice/entry/024740/
2025年9月30日、消費者庁は、同年8月31日までの国及び都道府県等の景品表示法に基づく法的措置件数の推移及び措置事件の概要を公表しました。本概要には、2024年9月から2025年8月までに国又は都道府県等において法的措置を採った事件の事案概要をまとめた一覧表が付されており、参考になります。
以上





