電気事業者への「電力買い取り」の義務付けが強化!?
電力の売買が自由化されると、太陽光発電投資にとってもプラスの面があると考えられます。
一つは、発電した電気の売り先が増えるということです。電力小売りの全面自由化によって、電気事業者の区分が変わり、小売り事業に携わる事業者はすべて小売電気事業者と位置付けられることになります。
小売り事業に携わるという点で共通ですから、いまの電力会社と特定規模電気事業者(PPS)との境がなくなります。それによってPPSに対しては、固定価格買取制度に基づく買い取り義務付けがこれまで以上に強化されると見られます。
売電先としていまのPPSまで含めて幅広く見込めるようになることが考えられます。これが、将来の売電単価の決定に有利に働くことが期待できます。
もう一つ、出口戦略を描きやすくなるという面も出てきそうです。固定価格買取制度に基づく買い取り終了後、これまでと同じ市場であれば、発電した電気の売り先はそれまで買い取ってもらっていた電力会社しか考えられませんでした。
しかし、全面自由化時代を迎えると、これまでの電力会社に加えて小売り事業に携わるさまざまな電気事業者も想定できるようになります。それは、出口戦略の選択肢が広がることにつながります。
これもまた、買取期間終了後も売電を続けるという戦略をとった場合には、そうした選択肢の多さが売電価格の決定に有利に働くことが期待できます。電気事業者によってはいまでも、固定価格買取制度に基づく電力会社の買取価格より高い価格で、太陽光で生み出した電気を買い取っています。
パナソニックグループが高値で電力を買い取れる理由
一例は、パナソニックグループです。グループ会社であるパナソニック・エプコエナジーサービスという会社では、買取制度に基づく固定価格より1円高い価格を設定しています。対象は、東京電力と中部電力の管内で出力50kW未満のものです。この会社では買い取った電力をグループ内のオフィスビルや工場に供給しているそうです。
ホームページによれば、天候や時間によって発電量が左右される不安定な太陽光発電の電気を、独自の技術・ノウハウを生かして安定供給できるため、電気料金を通常より高く設定できるといいます。
一方で、太陽光発電の電気を買い取る顧客とのやり取りにはインターネットを活用することで経費を削減しているそうです。こうした事業構造から買取価格を固定価格より1円高く設定できるという説明です。
特定規模電気事業者(PPS)として、事業を成り立たせられる勝算があるのでしょう。しかも、グループ内のオフィスビルや工場で、太陽光という再生可能エネルギーで発電した電気を使用することができます。
これは、CO2排出削減を通した地球環境保全への姿勢を企業グループとして打ち出すことにもプラスに働きます。環境経営の面からも役立つことが期待されているわけです。