前回は、「発電量の低下」を想定したシミュレーションの必要性について説明しました。今回は、投資シミュレーションの結果を「鵜呑み」にはできない理由を見ていきます。

発電量のシミュレーションを絶対視すると判断ミスも!?

シミュレーションの結果は絶対ではない――この点を、ぜひ肝に銘じてほしいと思います。あくまである前提のもとに試算した結果にすぎません。

 

現実の世の中は天候にしても何にしても複雑ですから、とてもシミュレーションのように単純には発電量を確保することはできないはずです。そこを忘れると、とんでもない誤りを犯しかねません。

 

以前、こんな驚くべき投資家に出会ったことがあります。太陽光発電投資に乗り出そうとしていたその投資家から見積もりを依頼されて応じたのですが、その結果の読み取り方が、明らかにおかしいのです。

 

見積もりでは、初期投資額に相当するシステム設置費用やメンテナンスコストをはじめとするランニングコストとともに、発電量のシミュレーションに基づき売電収入もはじき出しています。そしてそれらの金額をもとに、利回りの推移も求めます。その投資家は当然、わたしたちにとっては競合にあたる会社からも見積もりを得ていました。

 

ただし、導入する太陽電池パネルは同じメーカー製の同じ製品です。したがって普通に考えれば、設置費用の勝負です。それが安ければ初期投資額を抑えることができますから、利回りをその分、多めに確保できることになるからです。その点、わたしたちのほうがシステム設置費用は安い提案だったので、明らかに有利であると踏んでいました。

 

ところが、投資家は2つの見積もりを比べたうえで、最終的には競合会社を選んだのです。その理由は、「利回りが高かったから」です。システム設置費用は高かったのですが、売電収入の見込みも多かったため、利回りはそれなりに確保できる計算だったのです。

確定数値と見込み数値の峻別をする冷静な判断が必要

この判断、明らかにおかしいと思いませんか。売電収入の見込みが多いというのは、売電単価は確定値で変わりませんから、売電量の見込みが多いということです。確かに、私たちの見込んだ売電量より多い数値をこの競合ではシミュレーションで見込んでいました。

 

しかし、ちょっと待ってください。システムに導入する太陽電池パネルは同じメーカーの同じ製品です。それは細かいことを言えば、製品のバラツキがありますから、発電効率は異なるかもしれません。しかしそれは、ごくわずかなはずです。そうでなければ、製品として出荷できるはずがありません。

 

普通に考えれば、同じ製品を用いている以上、私たちが設置しようが競合で設置しようが、発電量は変わりようがありません。売電収入には差のつきようがありませんから、自ずとシステム設置費用の勝負になるはずです。それが、そうはならなかったのです。どのような想定の差から、同じ製品にもかかわらず発電量の見込みに差が生じることになったのかは分かりません。

 

ただこのように、発電量があくまでシミュレーションの結果に基づく見込み値であることを忘れてしまったかのような判断が下されることがある、ということはよく覚えておいていただきたいと思います。

 

これはいわば、利回りの高さに目がくらんでしまった例です。先ほど、利回り発想に立つことの重要性を指摘しましたが、それは決して利回りの数値を鵜呑みにせよ、と言っているわけではありません。

 

利回りに着目したうえで、その数値がなぜ得られているのかにまで目を向けることが不可欠です。そして、そこでは何が確定した数値で、何が見込みの数値なのか、峻別することも欠かせません。冷静で合理的な判断が求められます。

本連載は、2015年10月28日刊行の書籍『「マンション経営」よりラクで、確実に儲かる!太陽光発電投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「マンション経営」よりラクで、確実に儲かる! 太陽光発電投資

「マンション経営」よりラクで、確実に儲かる! 太陽光発電投資

松田 貴道

幻冬舎メディアコンサルティング

電力会社の買い取り価格の単価がこの3年で約3割も下がり、最近では「太陽光発電はもう儲からない」と言われるようになってきました。しかし、投資額を抑えたり発電量を確保することで、投資利回りを下げずに済みます。やり方次…

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