設置諸費用が安くなり、初期投資を抑えることが可能に
売電収入をできるだけ確保することと並んで、利回り発想に立ったうえでなおかつ目指したいことは、初期投資額をできるだけ抑えることです。
これまで再三指摘してきたように、太陽光発電システムの設置費用は固定価格買取制度がスタートした当時に比べると、大幅に下がっています。この時流を忘れないようにしてください。わたしたちの実績で言えば、システム設置費用のキロワット当たり単価は、出力10kW以上の産業用で20 万円前後に下がっています。
太陽電池パネルはもちろん、架台やパワーコンディショナーなど、システムを構成するすべての機器が、価格を軒並み下げています。競争は激しくなっていますから、複数の業者にシステム設置費用の見積もりを依頼し、できるだけ抑えられていると思われる値段で責任を持って設置できる業者を選ぶことが不可欠です。ここで求められる点は、以前に述べた業者選びのポイントと共通です。
パネルの出力を上げて発電量を引き上げる裏ワザ
最後に、太陽光発電投資で投資効率を上げるための、常識破りとも言えそうな裏ワザを2つ、ご紹介しておきましょう。いずれも、コストを抑えながら売電収入を上げる発想に立ったものです。
一つは、太陽電池パネルの出力をパワーコンディショナーの出力に比べぎりぎりまで高めることで発電量を稼ぐ、というものです。この場合、パワーコンディショナーの出力は50kW未満に設定します。こうすることで、低圧配電連系を可能にするわけです。しかし太陽電池パネルの出力は、そのパワーコンディショナーに接続できるぎりぎりの高さに設定します。例えば出力60kWとしましょう。
つまり、太陽電池パネルの出力は60kWながら、低圧配電連系にするわけです。こうすると、当然のことながら、太陽電池パネルの費用はかさみます。しかし一方で、高圧配電連系にせずに済むので、高圧配電連系に求められる特別なメンテナンス体制を整えなくて済む分、そのコストを抑えることができます。
電力会社の配電線に接続するのに必要になる連系費の面でも、有利に働くことが考えられます。メリットとして大きいのは、発電量を稼げることです。パワーコンディショナーの出力は50kW未満ですから、出力60kWの太陽電池パネルがピーク時に発電する分までは対応できないでしょうが、そこに至らない分は発電した量をほぼそのまま売電に回せるようになると考えられます。
これは、次のような理由からです。太陽電池パネルはたとえ出力50kWと言っても、季節や天候によって発電量にムラが生じます。例えば5月ごろのピーク時であっても、その50kWに達することはありません。
そこに出力50kWのパワーコンディショナーを組み合わせると、ピーク時以外はパワーコンディショナーの余力をずいぶん残してしまうことになるのです。それでは、効率が良くありません。
そこで、太陽電池パネルの出力を上げることで、パワーコンディショナーをより効率良く働かせるわけです。それによって発電量の引き上げを図ります。