今後は再生可能エネルギー由来の電気が重宝される!?
企業や家庭が同じように環境配慮の姿勢を強く打ち出そうと、太陽光のような再生可能エネルギーで発電した電気を好んで買い取るということは、今後とも広まっていくことが考えられます。
実際、再生可能エネルギーで発電した電気の取り扱いを巡っては2015年7月の段階で、ある攻防が繰り広げられています。小売事業者が取り扱う電気がどのような電源で構成されているかを開示することを義務付けるか否か、という綱引きです。電力の小売り全面自由化ということは、電気を地域の電力会社から買う必要は必ずしもないということです。
大口需要者がすでにそうであるように、複数の小売事業者の中から需要者自ら選べるのです。そのとき、電源構成の表示が意味を持つのではないか、という意見が主に消費者側から出ています。
確かに、電源構成が明らかになれば、環境意識が高い需要者は電源の中に再生可能エネルギーを活用して発電した電気を一定程度含む小売事業者から電気を購入することが考えられます。どの小売事業者から電気を買い入れるかを決める段階で有用な情報になり得ます。
情報開示の義務付けは再生可能エネルギーの競争力が高まることにつながる可能性があるのです。しかし一方で、火力・原子力発電所で発電事業を続けようとする電力会社にとっては、相対的に不利に働く可能性も否定できません。そのため、消費者側からは開示の義務付けを求める声が上がる一方で、電力会社側からは賛否両論の声が上がっています。
「政策の波」を捉えて太陽光発電投資の成功を確実にする
この点に関しては2015年7月段階ではまだ、決着がついていないようです。ただ少なくとも、一つの方向性は示されています。再生可能エネルギーを活用して発電した電気を販売する場合、それを、固定価格買取制度に基づいて調達した場合には需要者が支払う賦課金を原資とする費用補塡を受けることになります。
したがって、電気一般の価値を超える再生可能エネルギー由来の付加価値分は、その電気を購入した需要者だけでなく、賦課金を負担するすべての需要者に帰属すべき、と国は考えています。
そうした考え方に基づいて、小売事業者が「グリーン電力」や「クリーン電力」などの言葉を用いてその付加価値を説明するのは不適切ではないか、との方向性が示されているのです。再生可能エネルギーを活用して発電した電気の市場価値を小売事業者がどのような方法で訴求できることになるのかという点は、今後の成り行きに注目していく必要がありそうです。
この点は、太陽光発電投資の将来にも深く関係することになるでしょう。いままさに進行中の電力システム改革が、太陽光発電投資にとってどのような意味を持つのか、ご理解いただけたでしょうか。市場価値を持つ再生可能エネルギー由来の電気を売る先が増えることで、固定価格買取制度に基づくこれまでの市場とはまた違った新しい市場が切り開けるわけです。
システム改革は2016年度から2020年度にかけて、小売事業の全面自由化、送配電事業の「法的分離」、電気の小売料金の全面自由化、と本格化していきます。そうした「政策の波」に乗っていく必要があります。
以前指摘したように、太陽光発電事業の採算性がこれまで以上に厳しく問われるようになってきたことは否定できません。そうした中で時代の流れに見合ったノウハウを身に付けることが、太陽光発電投資の成功をさらに確実なものにするために求められます。