データベースを活用して検討地域の日射量を調査
適地を探り当てるのに使えそうなツールとして、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の日射量データベースがあります。
その中には、「日射量マップ」という名称で日本地図上に日射量の大きさを等高線のように表示したものがあります。これを見ると、太陽光発電システムの設置を検討している地域内の日射量の違いを地図上でおおよそ確認することができます。
また「MONSOLA-11」というデータベースでは、太陽光発電システムの設置を検討している場所の所在地情報からその近くにあるポイントを指定し、その場所での日射量を月別に瞬時にグラフ表示することができます。このデータベースには、太陽電池パネルの方角を15度刻みで、傾斜角を10度刻みで切り替えて日射量の変化を確認する機能も備わっています。
これを操作すると、太陽電池パネルの方角や傾斜角を変えることで日射量がどのように変化するかを、月単位で確認することも可能です。太陽光発電システムを、どの場所にどのような方角・傾斜角で設置するのが日射量を稼ぐうえで最適なのかが迅速に分かる、使い勝手の良いデータベースです。
ただし、このようなデータベースを活用した発電量のシミュレーション、例えば先ほど取り上げた太陽光発電パネルメーカーのシミュレーションには、注意が必要です。それは、メーカーによって試算に付きものの前提条件が異なるからです。
そうなると、シミュレーションを複数のメーカーから取り寄せた場合、それを単純に比較できるのかという問題に行き当たります。前提条件が異なれば、通常、試算結果は単純比較できないはずです。
「発電量の減少」を見込まない業者の見積もりに要注意
例えば、発電効率の低下をどの程度見込むのか、という点です。固定価格買取期間20年もの間に、太陽電池パネルの発電効率は次第に低下していきます。太陽電池という電池そのものの劣化もありますし、パネル表面の汚れによって太陽電池で受け止められる日射量が減少するという要因なども考えられます。
こうした経年劣化以外にも、温度上昇による損失や配線・回路のロスなどが見込まれるため、例えば出力5kWの太陽電池パネルを用いたとしても、その出力数値のままの発電量が確保されるわけではありません。
前回年間推定発電量のシミュレーション結果をご紹介した東芝製の太陽電池モジュールでは、温度上昇による損失やパワーコンディショナーの損失などを考慮することによって、発電量は最大でも出力数値の70〜80%程度、つまり出力5kWでも最大4kW程度にとどまる、という注釈を添えています。
これらはつまり、発電量の減少を引き起こすリスクを見込んでいるわけです。その見込み方は太陽電池パネルのメーカーやEPC(設計・調達・施工会社)など製品を供給する側の考え方で変わってくると考えられます。見積もりを依頼し、その提出を受けたとき、相手によってそこで想定している発電量に差があるようであれば、その差の原因はどこにあるのか、説明を求めるべきです。
その答えによって、発電量のシミュレーション結果をどのように受け止めればいいかが決まってくるはずです。下手をすると、アパート・マンション投資でいうところの満室経営提案になっていることさえ考えられます。
つまり、空室ゼロ。賃料収入を最大限に確保できるという提案です。太陽光発電投資で言えば、発電量の減少をまったく見込まず、出力数値通りの発電量をずっと確保できる、という都合のいい提案です。この点は、要注意です。