前回は、太陽光発電投資に必要な「利回り発想」について説明しました。今回は、「年間推定発電量」から太陽光発電投資の場所を選ぶ方法を見ていきます。

日本全国で年間推定発電量が最も少ない場所は?

ここで一つ、クイズにお答えください。北海道(札幌市)と沖縄(那覇市)、それぞれの都市に太陽光発電システム(出力5kW)を設置したとすると、年間推定発電量はどちらが多くなるでしょうか?

 

正解は、北海道です。年間推定発電量は沖縄5410kWhに対して、北海道5474kWhです。わずかとは言え、北海道が上回っています。たいていの方は、「沖縄!」とお答えになったのではないか、と思います。夏は涼しげで冬は雪の降る北海道と真夏の太陽のイメージが強い沖縄。印象からすると、圧倒的に沖縄でしょう。ところが、そうでない。だからこそ、太陽光発電の基本をあらためて認識しておくことが必要なのです。

 

この推定結果は、東芝の太陽電池モジュール200Wタイプを25枚用いたときのものです。これらの太陽電池モジュールを、真南に向けて、傾斜角30度で設置する前提です。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日本気象協会の「日射関連データの作成調査」(1998年3月)の年間月別日射量データベース、東芝算出のシステム損失を用いて求めています。

 

参考までに、ほかの都市での年間推定発電量を見てみましょう。東京は府中市を例に求めています。年間推定発電量は5439kWh。北海道と沖縄の、ほぼ中間です。関東地方では、群馬(前橋市)が最も多く、5857kWhです。栃木(宇都宮市)がそれに次いで多く、5617kWhです。日本全国で最も多いのは、山梨(甲府市)です。6000kWhを超えて、6241kWhに達しています。

 

6000kWhを超えているのは山梨以外では、6119kWhの高知(高知市)と6038kWhの宮崎(宮崎市)だけです。逆に日本全国で年間推定発電量が少ないのは、どこでしょうか。少ない場所は5000kWhを下回っています。

 

具体的には、4944kWhの秋田(秋田市)が最少です。少ないほうから順に、4967kWhの島根(松江市)、4969kWhの石川(金沢市)、4979kWhの新潟(新潟市)と続きます。押し並べて太平洋側で多く、日本海側で少ない印象です。エリアで見ると、中部地方や四国地方で多いようです。この2つのエリアでは、どの県も年間推定発電量が5500kWhを上回っています。

 

関東地方も、東京(府中市)と千葉(千葉市)だけが5500kWhを下回っていますが、ほかの群馬、栃木、茨城、埼玉、神奈川の5県はすべて、5500kWhを上回る水準です。なかなかの好成績なのです。これらの年間推定発電量は、過去の気象データから求められる日射量をもとにはじき出したものです。単純に地域ごとの日射量の違いが反映されています。

東京圏なら群馬、栃木、山梨辺りが狙い目

ただ、北海道と沖縄の差に関しては、太陽光発電は気温が低いほうが発電量を確保できるという特性が関係しているのかもしれません。太陽電池パネルはその構造上、温度が10度上がると、発電量は2〜5%程度減ると言われています。実際、夏の日射量が多い時期よりむしろ、5月くらいの日射量はそれほど多くないものの比較的涼しい時期のほうが、発電量が多くなるケースが見られます。

 

そういう意味では、日射量は多いものの気温はそう高くないという地域が、太陽光発電投資にとっては、ベストポジションということになります。以前に土地選びの段階で身近に使えそうな土地があるか否かを探すのが先決と助言しました。

 

ただ今後、発電量の確保が何より重要という考え方に立つのであれば、土地選びの段階で日射量や気温などの観点から立地条件を強く意識する必要が出てきそうです。例えば東京圏なら、年間推定発電量の多い群馬、栃木、山梨辺りでの展開です。

 

問題は、いずれも山がちな地形の場所であるということです。多くは山林であるとすると、土地を整地するのに伐採や抜根などが欠かせません。その費用が、収益性の足を引っ張りかねません。

 

いわゆる「見えないコスト」の発生です。そこに留意したうえで条件に見合う土地を探し出せれば、それが一番です。闇雲に適地を探すのではなく、年間推定発電量の結果をもとに的を絞り込みながら適地を探り当てていくのです。

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    本連載は、2015年10月28日刊行の書籍『「マンション経営」よりラクで、確実に儲かる!太陽光発電投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    松田 貴道

    幻冬舎メディアコンサルティング

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