相続税は現金で一括して納めるのが原則
相続税は現金でまとめて納めなければなりません。すなわち、相続税は「現金一括納付」が原則ということです。たとえば、相続税の額が2000万円と決まれば2000万円を、1億円であれば1億円をキャッシュで納付期限までに納めなければなりません。
期限までに十分な納税資金を確保することがどうしても難しい場合には、①物納あるいは②延納という手段も選択肢としては用意されています。
要件を満たせば「物納・延納」も可能だが・・・
①物納とは現金ではなく相続した財産(モノ)によって相続税を納めること、②延納とは一括払いではなく分割の形で支払うことです。ただし、これらはあくまでも原則である「現金納付」「一括納付」の例外として位置づけられているものであり、簡単には認めてもらえません。まず、物納、延納を申請する場合、それぞれについて以下のような要件を満たすことが必要になります。
①物納の要件
(1)延納によっても金銭で納付することが困難である
(2)物納が認められている財産である
(3)物納の申請期限が到来するまでに、物納申請書に物納手続き関係書類を添付して税務署長に提出する
②延納の要件
(1)相続税が10万円を超える
(2)金銭で一括して納付することが困難である
(3)原則として担保を提供する(延納税額が50万円未満で、かつ延納期間が3年以下である場合には不要)
(4)延納の申請期限が到来するまでに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出する
これらの要件をクリアしたうえで税務署長の許可を得なければならないのですが、許可をすべきか否かは裁量に委ねられています。つまり、要件を満たしたからといって必ず許可が下りるわけではありません。ことに物納については、図表に示したように、近年、非常に認められにくくなっています。
【図表 物納の許可件数】