相続税の納税期限はわずか10カ月
相続税は、いわば国に対して負っている借金のようなものです。借金をしたときに返済期限が短ければ、返済できなくなるリスクがそれだけ高まります。たとえば、1億円を1年後に返すのと2年後に返すのとでは、前者のほうが返済が困難になる可能性が大きいといえるでしょう。
借金を返済できなければ、破産の選択を余儀なくされるおそれがあります。返済期限の長短は、巨額の債務を負っている人にとって、「破産するか否か」を大きく左右する重要な要素といえるでしょう。
そして、相続税の「返済期限=納税期限」もこの上なく厳しいものになっています。すなわち、相続税の納付は相続があったことを知った日の翌日から10カ月以内に行うことが義務づけられています。1年にも満たないこの短い時間の間に、多い場合には数千万円、数億円もの額の納税資金を用意し現金で納めなければならないのです。
申告金額が不足していた場合には追徴課税も
しかも、この納税期限内に相続税を納めることができなければ、①延滞税や②無申告加算税が課せられることになります。延滞税は相続税の納付期限までに税金の納付がなされなかった場合に課される税金で、無申告加算税は申告期限内に提出された申告書の金額が不足していた場合に課される追徴課税です。
これらのペナルティが課された結果、納めなければならない税金がさらに大きく増える可能性もあるのです。借金の利子が雪だるま式に膨れ上がってにっちもさっちもいかなくなる――相続税に関しても同様の事態が起こりうるのです。
【延滞税と無申告加算税の計算方法】
①延滞税の計算方法
(1) 納期限の翌日から2カ月を経過する日までに納付した場合は原則として「年7.3%」ただし、平成26年1月1日以後の期間は、年「7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合となる。特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合。
(2)納期限の翌日から2カ月を経過した場合は原則として「年14.6%」ただし、平成26年1月1日以後の期間は、年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となる。
②無申告加算税の計算方法
原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額。税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には5%の割合を乗じて計算した金額に軽減される。