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不動産賃貸業の株式評価額が財産の1/3を占めるケース
A社は市内に商業ビルや賃貸住宅、ロードサイド店舗などを会社で保有して不動産賃貸業を経営していました。
オーナーは80歳を超え、配偶者はすでに亡くなっています。子どもは娘が3人で、長女の配偶者が養子縁組をして会社の社長として事業を承継しています。
会社所有地の上にオーナーが借入金で賃貸住宅数棟を建築するなどの対策をしていますが、個人の財産総額が約30億円、債務総額約15億円で、相続税の課税価格は約15億円、相続税の総額が約5.5億円という状況でした。
問題は財産のうち、不動産賃貸業である会社の株式評価額が約10億円にもなることです。
後継者の意向で特例事業承継税制の適用を検討
会社の株式に対応する相続税額について特例事業承継税制の適用を受けると、相続税額約5.5億円のうち約3.5億円について納税の猶予を受けることができるので、納税が約2億円で済むことになります。
しかし、納税猶予はあくまでも猶予です。株式を相続して納税の猶予を受ける後継者が死亡するまで株式を持ち続けなければなりません。
事前に後継者にその意思があるかどうかをしっかり確認する必要があります。このケースでは、長女の配偶者である後継者の意向で、特例事業承継税制の適用を受ける方向で検討を始めました。
■事業承継税制
事業承継税制とは、後継者が中小企業(非上場会社)の株式等・事業用資産を先代経営者等から贈与・相続により取得した際、贈与税・相続税の納税が猶予又は免除される制度です。
この制度は平成21年に創設されましたが、手続きが煩雑なことから利用が伸びないことを受け、平成30年に適用要件が抜本的に緩和されました。
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