飯田屋でもっとも売れているおろし金は「楽楽おろしてみま専科 極み」。

「売れない商品」は本当にあるでしょうか。商品が売れずに廃業寸前まで追い込まれた経験を持つ飯田屋6代目店主は、「ない」と答えます。「売れない商品」なのではなく、「売れない売場」があるのだと語ります。※本連載は飯田結太氏の著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)を抜粋し、再編集したものです。

メーカー希望小売価格にはどんな意味が

そもそもメーカー希望小売価格とは、作り手が「これだけの価値がある」と考えて決めた価格です。極論ですが、もし納得できない価格であれば仕入れなければいいのです。

 

それにもかかわらず、目の前の売上欲しさに価格を下げるのは、小売店の都合でしかありません。メーカーが小売店に頭を下げなければいけないこと自体がおかしいのです。

 

飯田屋では、メーカー側に希望販売価格がある場合、基本的にその価格以外で販売しません。実は飯田屋の店頭価格は、飯田屋だけですべて決めているわけではなく、メーカーの意向を最初に取り入れます。どうしてもこの価格で売ってほしいという意思がある場合は必ず遵守します。

 

商売とは、たった1回の取引で終わらせるものではありません。繰り返してご利用いただくことが繁盛の基本中の基本です。

 

だから、メーカーとも、お客様とも、戦ってはなりません。作り手の意向を尊重し、お客様にはその価値を納得してもらい、喜んで買っていただく姿が理想です。

 

そうした理想のために、僕たちは商品の魅力を伝える力を日々磨きます。そして、世の中に知られていない商品ではあっても、売れるまでに手間がかかる商品だとしても、よい商品ならば積極的に売場に置くのです。

 

かっぱ橋道具街でも、飯田屋にしか置かれていない料理道具が多いことにお気づきですか。それは作り手側も、メーカーの商品価値を一緒に守っていこうという飯田屋の姿勢に共感してくれているからだと思います。

 

むやみに価格を崩さなければ、メーカーにはきちんとした利益がもたらされます。すると、もっといいものをつくれるようになります。

 

お客様も飯田屋に来れば、作り手が挑戦的につくった他店にはない料理道具を手に入れられます。僕たちが伝える力をつければ、作り手だけでなくお客様にももっと喜んでもらえるのです。

 

「飯田屋さんは、値下げをしない理由をしっかりと持っているよね。だから信用できるんだ」と、声をかけてくださるお客様の存在が僕たちの誇りです。

 

飯田 結太
飯田屋 6代目店主

 

 

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

飯田 結太

プレジデント社

効率度外視の「売らない」経営が廃業寸前の老舗を人気店に変えた。 ノルマなし。売上目標なし。営業方針はまさかの「売るな」──型破りの経営で店舗の売上は急拡大、ECサイトもアマゾンをしのぐ販売数を達成。 廃業の危機に…

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