(※写真はイメージです/PIXTA)

修繕積立金は、10年、20年先と長期にわたる建物のメンテナンスのために、区分所有者が管理組合の形で積み立てる大切な将来のための費用です。修繕積立金、管理費はどのように決まるのでしょうか。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

9割以上は会計業務を管理会社に委託

■管理費余剰金

 

管理費と修繕積立金は前述したように使い途が異なるので、分別して管理します。管理費に余剰金が生じたからといって修繕積立金に繰り入れてしまうと分別した意味が無くなってしまいます。

 

また、将来の資金計画にも支障が出てしまうことも考えられます。その趣旨からいっても繰り入れすることはできません。勿論、総会の普通決議で承認を得ても規約違反です。しかしながら、修繕積立金に繰り入れることで、修繕積立金の見直しをしないですむことや金額の値上げ幅を縮小できるなどメリットもあることは事実です。

 

ですから、どうしても管理費を修繕積立金に繰り入れる必要があるという管理組合は、規約を変更して一般管理に余剰金が出た場合には総会の決議で修繕積立金に繰り入れを行うことができるようすることも考えられます。

 

マンション管理組合会計は、管理組合を構成する組合員に管理組合の財政状況を報告することが主な目的です。そして限られた収入で必要な支出をどのように賄うのかが命題であり予算の実績対比を行うことが必要です。

 

我が国のマンションの90%以上は、会計業務を管理会社に委託しているといわれています。管理組合の理事、監事は、管理会社から会計の月次報告書をただ鵜呑みにするだけでなく、自分たちの財産が適正に有効に使われているのかどうかを確認して把握しなければなりません。

 

また、組合員は、総会の議案書に記載されている収支決算報告をチェックして不明な点やわからないことがあれば、理事会や管理会社に説明してもらいましょう。

 

松本洋

松本マンション管理士事務所代表

 

 

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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