(※写真はイメージです/PIXTA)

修繕積立金は、10年、20年先と長期にわたる建物のメンテナンスのために、区分所有者が管理組合の形で積み立てる大切な将来のための費用です。修繕積立金、管理費はどのように決まるのでしょうか。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

管理費や修繕積立金は規約で決まっている

■管理費の決め方

 

管理費の使途については標準管理規約第27条に通常の管理に要する経費に充当することが規定されています。通常の管理は標準管理規約第21条で示されています。

 

「敷地及び共用部分の維持管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする」と規定されています。具体的には管理会社に支払う管理委託費のほか、共用部分の水道光熱費や共用部にかけられる損害保険料、等です。

 

修繕積立金は、計画的に実施される計画修繕の費用や、災害などの緊急事の補修や復旧に備える費用として積み立てられているお金です。

 

管理費や修繕積立金は、どのようにして決められるのでしょうか。

 

マンションを建設する事業主(デベロッパー)や管理会社は、そのマンションを敷地・建物・設備を勘案して維持管理するのに年間どの位の費用が発生するのかを積算します。その金額を各住戸の床面積割合に応じて按分します。

 

したがって、一般的には専有部分の面積が広い住戸は狭い住戸より管理費、修繕積立金を多く支払わなければなりません。区分所有法第19条では「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持ち分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。」と規定されています。

 

但し規約で「別段の定めをすることができる。」ことも規定されていますので、マンションの住戸全体を専有部分の広さに係らず、同じにすることは一定の範囲であれば、許容範囲といえるでしょう。

 

竣工当初は、デベロッパーや管理会社が決めた管理費、修繕積立金でスタートすることも多くあります。

 

管理費や修繕積立金は一般的に規約に定められています。したがって管理費や積立金の金額が規約に定められている場合にはその金額の見直しをすることは『総会の特別決議』で承認が必要です。規約に規定されていない場合は普通決議で変更は可能ですが、管理費や修繕積立金の変更は組合員にとっては大きな負担になる事が多いので、修繕積立金の見直し後トラブルを回避する目的で『総会の特別決議』で行うことも考えられます。

 

まだ竣工間もないマンションの場合にはマンション竣工当初は、アフターサービス期間中であることや設備などの劣化も生じないために、小修繕費、営繕費の支出が少ないので管理費に余剰金が多く発生しているだけです。

 

それは築年数が浅いという特殊な事情で余剰金が多く発生しています。竣工間もないマンションで管理費を値下げする管理組合も時々ありますが、後々の支出を考慮するとそれは適切な措置でないこともあるので慎重に検討することが必要です。マンションは、築年数が経過することで、建物・設備などの不具合が発生しやすくなり、経常的な補修費用が多く発生します。

 

したがって、今のうちに貯金しておくという気持ちが大切です。なお、国土交通省が平成23年に『修繕積立金に関するガイドライン』を通達しております。ここでは修繕積立金の目安と算出方法が採録されています。

 

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マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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