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サッチーの「本を読め、読め」の叱咤激励
人と争って自分が間違っておっても強情を張り通す、これが元気がよいと思ったら大間違いである。
【『論語と算盤』人格と修養】
■野村沙知代さんに憧れて
野村克也さんは45歳で現役引退されて、その翌年から野球解説者をされ、10年後の55歳のときにヤクルトスワローズの監督に就任しました。野村さんがヤクルトの監督に就任できたのは、野球解説者の仕事をしつつ、監督として成功するために10年かけてその準備に取り組んだからです。
その間、奥様のサッチーこと野村沙知代さんの陣頭指揮のもと、野村さんは中国古典やビジネス書など、読書を習慣化されていきました。野球解説は聞いていてさすがにおもしろいけれど話に奥行きが感じられないのは、またひっきりなしに呼ばれる講演会の評判がいまひとつパッとしないのは、言葉を知らないからだと看破した沙知代さんは、野村さんに「本を読め、読め」と言われたそうです。
その陣頭指揮が間違っていなかったのは、野球解説はもちろん、講演会も次第に評判がよくなっていったからです。「本を読めば、講演会でもうまく話せるようになるわよ」と、野村さんに勧めました。この読書が監督になってからも活きたと言います。
野村さんには、沙知代さんという名監督がいて、まさに二人三脚で奮励努力したことになります。テレビを見ながら、僕も怖いなと思いましたが、大人になってから考えてみると、結局、結婚するのなら沙知代さんのような奥さんのほうがいいのではないかと思うようになりました。
■僕の沙知代さんは「なんくるないさ」
僕のワイフについて触れます。ワイフは沖縄の人で、「なんくるないさ(何とかなるさ)」精神が人一倍強い、しかしとてもかわいい女性です。マイナス思考の僕にとって、「なんくるないさ」という音に触れると、それだけで気分が楽になる気がします。
僕が結婚したのは38歳です。ワイフは僕より11歳年下です。40歳で子どもが生まれ、初めて父親になりました。
こんなことがありました。
「今日は家で夕飯を食べれるかな」と思ったので、「今から帰るけれど、夕飯何かな?」と聞くと、「今日は、たい飯!」と言うのです。
僕は「え?」と驚きました。これまで1回も出たことがなかったメニューでした。「いつの間に鯛飯をつくれるようになったんだ。すごいな、鯛飯なんて」と感動してしまいました。何度かロケで鯛飯を食べたことがありましたが、まさに職人技を必要とする一品でした。
「あんなうまいものを家でできるのか」と思い、「鯛、買ったのかな?」「土鍋は確かうちにあったけれど、あれをどうにか使ってうまくやってるのかな?」と期待は膨らみ、わくわくしながら帰りました。
ところが、食卓を見ると、見当たりません。ワイフに、「あれ、鯛飯は?」と聞くと、「これだよ」と言って出てきたのはタイ米で炊いたご飯でした。うん、まさに「タイメシ」。ネタではなく、本人はガチンコで、タイ米のことをタイ飯だと思っていたのです。
「え、これタイ飯って言わないの?」
笑いという最高の一品を頂戴しました。
僕は最近、もちろん奮励努力もしますが、ワイフの「なんくるないさ」で素直に運命が開いていきそうな気がしています。渋沢さん、夫婦で協力し合っての運命との出会いもありですよね。