(※写真はイメージです/PIXTA)

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求められる自立…近々訪れるマーケットの「向かい風」

ランニングに例えれば、彼らの体調は非常に良く、追い風の中、平地を颯爽と走っています。しかし、彼らはまだ、向かい風もスランプも経験もしていません。

 

ランニングでは、向かい風は執拗なほどに強く感じられますが、追い風は不思議なほど背中には感じられないもので、始めたばかりのランナーが風に気づくのは「折り返してから」です。著名投資家のレイ・ダリオはしばしば「人間の典型的な過ちは、サイクルを認識せず、最近という過去がずっと続くと勘違いすることだ」と言います。

 

今後、先進国の金融市場では、中央銀行による流動性の追加支援がなくなる転換期を迎えます。また、追加支援の停止のみならず、金融引き締めを模索する中央銀行も少なくありません。

 

そして、過去は、流動性の追加供給が止まって「クッション」がなくなると、金融市場は、欧州債務危機やチャイナ・ショック、米中貿易摩擦などのイベントに脆弱になりやすいことを示しています。

 

また、中国の金融市場でもモラルハザード(倫理の欠如)を防ぐために、暗黙の公的支援を否定するという、大きな転換期を迎えます。中国は、日米に学んでいる分、不動産市場や金融システムへの影響を最小限に留めるでしょうが、何度も続いてきた暗黙の公的支援を一度、明確に断ち切り、金融市場に規律を与える必要があります。

 

すなわち、今後、実体経済も金融市場も流動性の支援を得られず、自立を求められます。それは、投資家も同様です。

 

こうした中、筆者は、ひとりで資産運用を行う新しい個人投資家のことが気がかりです。

 

変動性が大きくなると、頭の中では「長期・分散・積み立て」の有効性を理解していても、心は冷静ではいられないものです。積み立てを続けてよいのか、すべてを売ったほうがよいのか、本当に分散できているのか、と不安になるものです。

 

新しい個人投資家は、人間は同じことを繰り返す生き物であり、自分も例外ではないことと、どの専門分野も「自分ひとりでできる」ような、簡単なものではないことを想像する必要があります。言い換えれば、資産運用の専門家であるファイナンシャル・アドバイザーにコーチングを受けることも一案です。

 

投資家のそばに寄り添うファイナンシャルアドバイザーの「重要な役割」

 

これまで彼らの印象は良くないかもしれません。しかし、彼らは生き残りをかけて変わりつつあります。最近の証券会社や銀行は、個人投資家のポートフォリオや金融市場のサイクルを考えつつ、個人投資家が長期目線で分散投資ができるような投資信託を採用することを心掛けています。

 

例えば「これまで大型・成長株式が隆盛を極め、主要な株式指数もそうした銘柄に偏り、金融政策が正常化に向かうならば、分散のために小型・割安株式を投資家に届けよう」といった具合です。

 

また、最近の彼らは自社の顧客に手数料を控除した後でもインデックスを上回る成果を届けることを企図し、我々運用会社に、長いトラックレコード(運用歴)があり、安定的に指数を上回っているファンドを求めます。

 

結果として、弊社を例に取れば、米国や欧州で長く生き残ってきた哲学と実績のある運用戦略を日本の個人投資家の皆様に提供しています。

 

ファイナンシャル・アドバイザーのイメージは次のようなものかもしれません。すなわち、サイクルを見て、投資家にアドバイスをし、ポートフォリオに影響を与えます。その後の市場とポートフォリオの動きを受けて、投資家に状況の説明とフィードバックを行い、次のアクションを提示します。

 

しかし、ファイナンシャル・アドバイザーには、もっと重要な役割があります。それは、金融市場がスランプやプラトーに陥ったときに、投資家のそばに寄り沿い、資産運用のゴール(目的)をリマインドすることです。

 

資産運用こそ「自分でできる」と思わず、常に皆さんの側に立つファイナンシャル・アドバイザーを見つけることをお勧めします。

 

 

重見 吉徳

フィデリティ投信株式会社

マクロストラテジスト

 

 

 

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