資産運用にもコーチングを(ファイナンシャル・アドバイザーへの応援歌)
アスリートと同様に…資産運用にも「専門家」のススメ
この夏、オリンピックやパラリンピックを観ながら、改めて「誰もひとりでは輝けない」と感じました。ひとりのアスリートには、動作のほか、メンタルや疲労回復を支えるコーチやトレーナー、管理栄養士といった専門家たちが何人も付きます。
我々も、外部の専門家にコーチングを受けることは一般的になりつつあります。例えば、ゴルフやヨガ、ランニングや筋トレのフォームやメニュー、運動や食事の量と内容の管理などです。我々は、お金を支払い、彼ら専門家の技術や時間を買います。そうする理由はふたつあるでしょう。
ひとつは、十分に楽しむためには上達することが最善・最速の方法であり、上達するためには、美しいフォームや合理的な方法により、練習を積み重ねることが必要だからでしょう。「自分ひとりでできる」と思ってお金を渋ると、上達に時間がかかったり、離脱したりして、時間というコストを支払う場合もあります。
専門家に対価を支払うもうひとつの理由は、上達や目標達成に向け、あるいは、スランプやプラトーの時期(停滞期)を通じ、離脱することなく忍耐強く継続するためには、コンスタントな励ましや見守り、フィードバックが必要だからでしょう。
他方で、専門家の力を借りる我々もまた、なにかの専門家であり、専門性を交換することで、経済は成り立っています。
個人投資家の現状
では、日本の個人投資家の資産運用はどうでしょうか。少額投資非課税制度(NISA)や「老後資金2000万円不足問題」、パンデミックなどをきっかけに資産運用を始めた「新しい個人投資家たち」は、インターネット証券に口座を開き、「自分ひとりで個別の銘柄や投資信託を選んでいる」ようです。
書店に行けば、「資産運用」に関する書籍は「自己啓発」に関する書籍と共に2大エリアを構成しており、新しい個人投資家たちは資産運用について自学自習をしているようです。
弊社の「ビジネスパーソン1万人アンケート」でも、「長期・分散・積み立ての有効性」についての理解が年々、広がっていることが確認されています。株式指数への連動を目指すインデックス型の投資信託やETF(上場投資信託)が広がっていることも自学自習の反映でしょう。
長く続いている強気相場を見る限り、彼らの資産運用は、専門家の力を借りるまでもなく、大変うまく行っているように見えます。しかし、彼らの成功が、NISAの普及や「長期・分散・積み立ての有効性」への理解によるものか、巨大な金融緩和や勢いのある強気相場のためかと問えば、理屈では後者が答えです。