(※写真はイメージです/PIXTA)

不安や心配事、睡眠不足、難航する仕事、人間関係の悩み…こうしたストレス要因が仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことは容易に想像できるでしょう。しかし、必ずしも「ストレス=悪」とは限りません。約18年間にわたってストレスチェックの開発と運用に携わってきた筆者が、ストレスと生産性の関係について解説します。

まず取り組むべきは「メンタルヘルス不調の予防」

事後配慮型の職場を予防成長型に変えていくためには、まず予防に取り組むところから始めます。予防に取り組み、マイナスをゼロにしながら、並行して成長型への転換に取り組むという流れです。

 

予防には、以下の3段階があります。

 

●1次予防:メンタルヘルス不調にならないようにさまざまな知識を提供すること

●2次予防:メンタルヘルス不調に陥った人を早期発見すること

●3次予防:メンタルヘルス不調に陥った人の再発を防止すること

 

どの段階でも車の両輪のように、職場対策と個人対策を組み合わせています。メンタル不調には、職場環境要因と個人要因の2つの原因があるからです。

 

1次予防では、基本的にメンタルヘルスに関する普及啓発活動の手伝いをします。職場対策としては、経営者向け・管理職向け・新任管理職向けにそれぞれの研修が必要です。また個人対策としては、メンタルヘルスに関する基礎的な研修やウェブ上でのe-Learning、パンフレット類のほかにストレス対処能力を高めるためのワークブックなどがあります。

 

2次予防では、職場における早期発見のための仕組みとして、ストレスチェックおよびそのフィードバックを行います。職場対策の一環として、ストレスチェックの結果を分かりやすく解説した報告会の開催、問題のある職場へのコンサルテーション、管理職からの相談を受ける体制などを整えます。報告会は役員・部長・課長などの階層に合わせて報告内容をカスタマイズしたり、報告用の資料についても役員会報用のサマリー様式にアレンジしたり、管理職の現場対策用マニュアル様式にしたりするなど、職場改善に活かせるよう工夫するとよいでしょう。

 

個人対策としては、ストレスチェックの結果表に過去3回分の結果を載せて時系列で比較できるような構成にしたり、結果のフィードバックを目的とした講演会、リモート研修会などを開催したりしています。

 

治療後あるいは治療中の職場復帰および再発防止が3次予防になります。職場対策としては、保健師や臨床心理士などによる休職および復帰システムの整備と休職・復帰委員会の組織作り支援や健康相談などを行っています。

 

 

梅本 哲

株式会社医療産業研究所 代表取締役

 

 

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※本連載は、梅本哲氏の著書『サイエンスドリブン』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

サイエンスドリブン 生産性向上につながる科学的人事

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梅本 哲

幻冬舎メディアコンサルティング

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