本連載では、時間をかけずに効率よく運営できる「サブリース」について、そのノウハウを説明します。今回は、不動産業界で「サブリース」が誕生した経緯を見ていきましょう。

海運業を営むクライアントの存在がきっかけ!?

私がサブリース(転貸)というビジネスモデルを思いついたのは30年以上も前。クライアントのなかに海運業を営む企業があったことがきっかけです。

 

賃貸の仲介ではどんな客を紹介しても手数料は上限で1カ月まで。長期に入居してくれる優良企業を紹介しても、滞納したり、ほかのテナントに迷惑をかけるような会社を紹介しても手数料は変わりません。

 

しかし、船の場合は違います。仲介を手がける会社が企業に船を紹介すると、その船がチャーターされている間はずっと紹介料が入るのです。つまり、長期に船を借りてくれるよい企業を見つけてくればくるほど、船の価値を上げれば上げるほど、収入が増えるという仕組みです。

 

同じように仲介をするのであれば、努力に見合った成果が得られるビジネスのほうがよいではないか。そのほうが付加価値が高いビジネスではないか。そこで、それをヒントに「サブリース」と命名し、ビルの転貸業を始めたわけです。現在は住宅も含め、不動産業界では一般的になっているサブリースですが、最初にサブリースという単語を広告に使ったのは私だったのです。

 

そのため、他社が追随する形でサブリースを始めた頃には、大手広告代理店の電通からサブリースという単語を広告に使っていいかという問い合わせがきたこともあります。それに対し、私はどうぞ、ご自由にと返答しました。サブリースという業態が広く知られるようになれば、世のオーナーのためになる、そう判断したからです。

ビルの「価値」を高める仕組み

ところで、不動産の場合、サブリースとはオーナーからビルを借り上げ、それをテナントに貸すという仕組みになっています。といっても、これはテナントから入る賃料をそのまま右から左に渡して保証することではなく、また、単純に転貸するというだけのものではありません。

 

当社が間に入ることで、劇的に変わることがあるのです。それがビルの価値を上げる作業、プロパティマネジメント、ビルメンテナンスが行われるということです。この2つの言葉は、ここ何年かで知られるようになりましたが、その詳細については意外に知られていないかもしれません。以降で説明していきましょう。

本連載は、2014年9月18日刊行の書籍『海外資産の相続』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

空室を抱える 中小オフィスビルオーナーのための 満室ビル経営

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佐々木 泰樹

幻冬舎メディアコンサルティング

サブプライム問題、リーマンショックを経て、悪化した賃貸オフィスビル市場は依然厳しく、地方都市では都心以上に苦しい状況にあります。 そのような中、特に中小規模のオフィスビルは、バブル期以前に建った築20年以上のビル…

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