前回は、プロパティマネジメント会社(PM会社)の持つ不動産の「情報」の重要性について説明しました。今回は、空室解消のためにPM会社を活用する際の留意点を見ていきます。

PM会社の優劣を左右する「ノウハウ」の蓄積

どんな場面であっても行動を起こすためには、どう動くべきかを判断する必要があります。何をすべきかわからないままに動いても問題は解決できません。

 

その行動の裏づけになるのは、やはりノウハウも含めた情報です。過去、同じような例がなかったか、現在の状況はどうなっているのか、法的にはどう対処すればいいかなど情報があれば、判断は素早く下せます。

 

逆に判断材料となる情報がなく、いい加減な判断しか下せない場合には対処したつもりが問題を悪化させることもあります。特に滞納など即時の対応が必要な場合に、のんびり書面で督促していたのでは間に合いません。すぐに担当者が動かなくてはいけないのです。

ビルの価値すら左右する委託PM会社の総合力

ちなみに筆者の会社の滞納対応は過去実績で回収率100%。これは早期対応と法的手段に関する専門知識、ノウハウの蓄積があってのことです。社員の誰もが、この問題にはこう対処するといった実務経験を積み、情報を共有しているため、誰かの指示を待たずとも動くときにはすぐ動けるのです。

 

情報収集力、ノウハウとそれに基づく行動の速さ、この総合的な力は、筆者の会社の空室を出さない、ビルの価値を保ち続ける経営を可能にしています。

 

プロパティマネジメントに限らず、仕事を依頼する場合にはどんな仕事をしてもらうのかだけでなく、どんな仕事をどのようにしてもらうかが大事だろうと思います。その意味ではどのPM会社でも当社と同じ名目の仕事はしていますが、内容はかなり違うはず。

 

今後、空室解消のためにPMを依頼するのであれば、その違いを理解した上で、正確に無駄なく動けるスタッフを抱える会社を選んでいただきたいものです。

本連載は、2010年12月21日刊行の書籍『空室を抱える中小オフィスビルオーナーのための満室ビル経営』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

空室を抱える 中小オフィスビルオーナーのための 満室ビル経営

空室を抱える 中小オフィスビルオーナーのための 満室ビル経営

佐々木 泰樹

幻冬舎メディアコンサルティング

サブプライム問題、リーマンショックを経て、悪化した賃貸オフィスビル市場は依然厳しく、地方都市では都心以上に苦しい状況にあります。 そのような中、特に中小規模のオフィスビルは、バブル期以前に建った築20年以上のビル…

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