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連載養老先生、病院へ行く【第7回】

韓国の甲状腺がん検診は“過剰診断”だった…「見つけなくてよいがんもある」の真意【医師が解説】

医師の言葉病気

韓国の甲状腺がん検診は“過剰診断”だった…「見つけなくてよいがんもある」の真意【医師が解説】

東大病院に勤める医師、中川恵一氏は「健康診断とがん検診だけは受けてほしい」と語ります。一方で、「見つけないほうがよいがん」も存在するとのこと。同氏がそれぞれの理由について解説していきます。 ※本連載は、書籍『養老先生、病院へ行く』(エクスナレッジ)より一部を抜粋・再編集したものです。

 

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「検診を推奨するがん」「見つけないほうがよいがん」

市区町村で行われている住民検診には、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの検診があります。このうち、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの検診は死亡リスクを下げることが国際的な統計によって証明されています。また肺がんと胃がんも有効性があるとして推奨されています。この「5つのがん検診」に関しては、私は受けなければ損だと常々言っています。

 

市区町村のがん検診は低額で受けられます。自治体によって金額は異なりますが、無料か500〜1000円くらいの自己負担で済みます。

 

また、がん検診で見つかったがんのほうが生存率は高くなります。検診で見つかった大腸がんの5年生存率は9割以上ですが、それ以外の理由で見つかった場合は6割程度まで下がります。同じように、胃がんの生存率はそれぞれ88%と53%、乳がんでは93%と84%、子宮頸がんが94%と71%となっています。

 

もちろん、それ以外のがんになる可能性もあります。膵臓がんのように死亡率が高く、かつ早期発見しにくいがんもあります。

 

しかし、がんは生存を脅かすリスクの1つですが、すべてのリスクをゼロにすることはできません。

 

少なくともこの5つのがんについては、生存率を上げることがわかっているのですから、寿命を延ばしたいと思う人は受けたほうがよいのです。

 

その一方で、早期発見しなくてよい、というよりも見つけないほうがよいがんが存在します。その1つが甲状腺がんです。微少ながんを含めると、高齢者のほとんどが甲状腺がんを持っていると言われています。

 

韓国では甲状腺がんの検診が広がり、20年間で発見数が15倍に増えました。にもかかわらず、死亡数は減っていません。もともと甲状腺がんで亡くなることは極めてまれだからです。

東京大学名誉教授 医学博士
解剖学者

1937年、神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。

95年、東京大学医学部教授を退官後は、北里大学教授、大正大学客員教授を歴任。京都国際マンガミュージアム名誉館長。

著書に、毎日出版文化賞特別賞を受賞し、447万部のベストセラーとなった『バカの壁』(新潮新書)のほか多数。

著者紹介

東京大学大学院 医学系研究科 特任教授 医学博士

1960年、東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業後、同大学医学部放射線医学教室入局。

社会保険中央総合病院放射線科、東京大学医学部放射線医学教室助手、専任講師、准教授を経て、現在、東京大学大学院医学系研究科特任教授。2003年〜2014年、東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。

共・著書に『医者にがんと言われたら最初に読む本』(エクスナレッジ)多数。

著者紹介

連載養老先生、病院へ行く

養老先生、病院へ行く

養老先生、病院へ行く

養老 孟司
中川 恵一

エクスナレッジ

あの「あの病院嫌い」の養老先生が入院した!? 自身の大病、そして愛猫「まる」の死に直面した養老先生が、「医療」や「老い」「大切な存在の死」とどう向き合うかなど今の時代のニーズに合致しつつも普遍的かつ多様な書籍で…

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