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連載養老先生、病院へ行く【第6回】

医師が警鐘「がんは治る病気なのに、日本人は…」検診を受けない“意味不明”な理由

医師の言葉病気

医師が警鐘「がんは治る病気なのに、日本人は…」検診を受けない“意味不明”な理由

東京大学名誉教授・医学博士で「病院嫌い」な養老孟司氏は、自身の体調の異変に気づくとき、データを見るのではなく「身体の声を聞く」と言います。しかし、それは万人に可能な方法ではありません。日本人の「ヘルスリテラシー」について、養老氏の教え子であり、東大病院の医師である中川恵一氏が解説します。 ※本連載は、書籍『養老先生、病院へ行く』(エクスナレッジ)より一部を抜粋・再編集したものです。

 

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「なぜがん検診を受けないのか?」1位の理由は…

私ががん検診を勧めるのは、早期がんであれば、多くのがんは治癒できるからです。しかし早期がんは自覚症状がありません。

 

逆に自覚症状が出てきてから発見されるがんの多くは進行がんです。治癒できない確率が高くなります。

 

日本でのがん検診の受診率は2〜3割程度です。内閣府が調査した「がん検診未受診の理由」(平成28年)によると、1番多い理由は「受ける時間がないから」(30.6%)です。しかし実際のところ、半日休めば検診は受けられます。

 

2位は「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」(29.2%)です。早期がんでは自覚症状がないので、早期がんがどういうものか知っていれば理由にはなりません。

 

3位の「必要なときはいつでも医療機関を受診できるから」(23.7%)も同様で、医療機関に行くのは症状があるときなので、これも早期がんについて知っていれば理由にはなりません。

 

4位の「費用がかかり経済的にも負担になるから」(15.9%)は、市区町村の住民検診が低額で受けられることを知らないから出てくる回答でしょう。

 

そして5位は「がんであるとわかるのが怖いから」(11.7%)です。これはほとんど意味不明です。しかしながら、体調が悪くても悪い病気が見つかるのが怖いから病院に行かないという人の話はよく聞きます。病院嫌い、医者嫌いの一定数にもこのタイプはいるのではないかと思います。

 

1〜5位のいずれも、医療に対する正しい知識があれば、理由にならないものばかりです。ここから読み取れるのは、日本人のヘルスリテラシー(健康や医療に関する情報を正確に理解し活用できる能力)が低いということです。

東京大学名誉教授 医学博士
解剖学者

1937年、神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。

95年、東京大学医学部教授を退官後は、北里大学教授、大正大学客員教授を歴任。京都国際マンガミュージアム名誉館長。

著書に、毎日出版文化賞特別賞を受賞し、447万部のベストセラーとなった『バカの壁』(新潮新書)のほか多数。

著者紹介

東京大学大学院 医学系研究科 特任教授 医学博士

1960年、東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業後、同大学医学部放射線医学教室入局。

社会保険中央総合病院放射線科、東京大学医学部放射線医学教室助手、専任講師、准教授を経て、現在、東京大学大学院医学系研究科特任教授。2003年〜2014年、東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。

共・著書に『医者にがんと言われたら最初に読む本』(エクスナレッジ)多数。

著者紹介

連載養老先生、病院へ行く

養老先生、病院へ行く

養老先生、病院へ行く

養老 孟司
中川 恵一

エクスナレッジ

あの「あの病院嫌い」の養老先生が入院した!? 自身の大病、そして愛猫「まる」の死に直面した養老先生が、「医療」や「老い」「大切な存在の死」とどう向き合うかなど今の時代のニーズに合致しつつも普遍的かつ多様な書籍で…

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