コロナ禍での外出自粛は、健康に対して思わぬ「リスク」をもたらした、と東京大学大学院医学系研究科・特任教授の中川恵一氏は指摘しています。 ※本連載は、書籍『養老先生、病院へ行く』(エクスナレッジ)より一部を抜粋・再編集したものです。

 

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コロナ禍の外出自粛が「がんの原因」になり得る?

コロナ禍でのマスク着用や手洗いの成果だと思いますが、2020〜21年のインフルエンザの患者数は激減しています。新型コロナとインフルエンザがダブル流行するのではないかとマスコミが煽りましたが、インフルエンザはまったくといってよいほど流行しませんでした。

 

一方で、冬になると新型コロナは第3波を迎え、再び感染者が急増してきました(※2020~21年にかけて)。これは新型コロナのほうがインフルエンザよりも感染力の強いウイルスだからでしょう。

 

第3波に伴い日本政府は、地域限定であるものの、2度目の緊急事態宣言を出し、外出自粛や在宅勤務を国民に呼びかけました。

 

在宅勤務をすれば満員電車などでの人との接触が避けられますし、通勤時間が不要なので時間が有効活用できる、といったメリットが確かにあります。しかし在宅勤務には健康リスクを高める落とし穴もあるのです。

 

まずお酒とタバコの量の増加です。自宅にいれば他人の目を気にする必要はありません。しかも外出自粛で思うように外に出られません。

 

特に2021年の緊急事態宣言では飲食を自粛するようにと言われたので、居酒屋に行くのもはばかられます。

 

必然的にお酒の好きな人は飲酒量が増え、喫煙者はタバコの量が増えます。過度の飲酒や、喫煙ががんのリスクを高めるのは言うまでもありません。

 

またWHO(世界保健機関)はコロナ予防のために飲酒を控えるように呼びかけています。「飲みすぎれば免疫力が弱くなって、ウイルスから身を守る能力が減退する可能性がある」とまで指摘しています。

 

在宅勤務の長期化でストレスを抱え、飲酒量が増えている人は私のまわりにもいます。アメリカでは、在宅勤務者の3人に1人が自宅で飲酒していると答えています。

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