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「がん、心筋梗塞の予防」気をつけたい生活習慣
甲状腺がんや前立腺がんのように、見つけなくてもよいがんというのはごくまれです。「がんは放置してもよい」とする、ある医者の本が話題になったことがありますが、すべてのがんにあてはまるわけではありません。というより、ほとんどのがんにおいては間違った考え方です。
多くのがんは放置することで早期治療する機会を失います。放置によって、がんがあちこちに転移してしまうと、治癒が困難になります。がんで死なないためには、早期発見が大事なのです。
また、がんは生活習慣で予防できる病気でもあります。がんのリスクを下げるには、禁煙や節酒がよく知られていますが、おすすめしたいのは運動です。
コロナ禍で日本国民の運動不足が懸念されていますが、運動不足はがんの発症リスクを高めます。逆に、運動は多ければ多いほどがんのリスクを減らすので、工夫して運動を心がけるようにしたいものです。
養老先生もかかった心筋梗塞も、予防できる病気の1つです。加齢とともに血管も老化していきます。医学的には動脈硬化といいますが、動脈が硬く脆くなる病気です。動脈硬化が進むと、血栓(血のかたまり)などによって血管が詰まりやすくなります。そして、養老先生のように心臓の冠動脈が詰まるのが心筋梗塞などの虚血性心疾患です。
また動脈硬化が進むと、脳の血管も詰まりやすくなります。脳の血管が詰まって起こるのが脳梗塞などの脳血管障害です。
心筋梗塞や脳梗塞は致死率の高い病気ですし、脳梗塞では命が助かっても、半身不随などの後遺症が残ることもあります。これらを引き起こす動脈硬化は、確かに血管の老化ではあるのですが、老化の進み方には個人差があります。また生活習慣によっても異なります。
動脈硬化を進める危険因子としてよく知られているのが、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、肥満、喫煙などです。養老先生は糖尿病で喫煙者でしたから、動脈硬化を進める因子を少なくとも2つは持っていたことになります。