(画像はイメージです/PIXTA)

夫婦二人が暮らす高級マンションは、資産家のひとり娘である妻が、父親から生前贈与されたもの。ところがある日、夫は黙って自分の両親をマンションに招き入れ、「ここで僕の両親と同居する」といい出しました。妻は拒絶することができるのでしょうか。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

所有者が承諾していない以上、立ち退いてもらえる

先ほど、太郎さんが親の老後の面倒を見ようとしていることはよいことだと述べましたが、それは、そのようなことができる環境が整っていればの話です。

 

だれと同居するかは夫婦にとって重要な問題ですから、太郎さんは、自分の親を呼び寄せるのであれば、妻であるゆり子さんの承諾を得るべきであったでしょう。とくに本件では、マンションはゆり子さんの所有物ですから、ゆり子さんの承諾がなければ、いくら両親の老後の面倒を見ようとすることがよいことであったとしても、許されません。

 

そこで、本件では、ゆり子さんの承諾を取らなかった太郎さんに問題があるのであって、「夫の親を追い出すのは、人として問題がある」とする選択肢③も誤りです。

 

したがって、本件では、「マンションの所有者は、ゆり子さんなので、ゆり子さんが承諾していない以上、太郎さんの両親に立ち退いてもらうことができる」とする選択肢④が正解となります。

 

本件では、ゆり子さんが太郎さんの両親が引っ越してきたところで、問題にしているので立ち退いてもらえそうです。

時間が経過すると「同居を承諾」と判断される場合も…

しかし、同居してしばらくしてしまうと、裁判となったときに裁判所に同居を承諾してしたと判断されてしまう可能性があります。

 

老後は同居して面倒を見ることを承諾したとみなされてしまうと、太郎さんの両親が亡くなるまで同居することを承諾したこととなってしまいますから、立ち退いてもらうことはほぼ不可能となってしまうところでした。

 

無償で住まわせる場合、承諾したとみなされてしまうと、思わぬ不利益を被る可能性があります。ご注意ください。

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

高島 秀行
高島総合法律事務所
代表弁護士

 

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録