小型犬や足の細い犬種で起こりやすい「骨折」ですが、実はペットの骨折の大半は家のなかで起きているのです。獣医師として数々の動物の命と向き合ってきた中村泰治氏が、室内でのペットの骨折を防ぐ方法と、早期発見のためのサインを解説します。

普段と違う歩き方をしていたらすぐ病院へ

骨折したときに、最も分かりやすい症状としては挙上と呼ばれる、痛がって足を高く上げる行為が出現します。痛がって足を地面につけるのを避けて、折れた足だけ高く上げたまま歩こうとします。

 

また、跛行と呼ばれる症状もよく見られます。これは、折れた足をかばうように歩いたり、引きずったり、ケンケンする、ピョンピョンするなど不自然な歩き方をする症状のことです。

 

このほか折れているところを触ると「キャン」と痛そうな鳴き声を出したり、抱きかかえようとすると痛がって怒るなどもあります。折れているところが腫れたり熱をもったように熱くなる、あるいは自分でずっと一カ所をなめていることもあります。

 

骨折した場所によっては、排尿や排便にトラブルが起こることもあります。例えば重要な神経が通っている場所に近いところを骨折すると、体に麻痺が起こったり、排尿や排便がうまくできなくなることがあります。

 

ペットが骨折した場合は、痛くてうずくまってしまうケースももちろんありますが、どちらかというと歩いたり走ったりはするものの、歩き方や走り方がどこか不自然というケースが多くなっています。

 

歩いてはいてもどこかをかばっているような、いつもと違う歩き方・走り方をしているときは、念のため獣医師の診察を受けたほうが安心です。

1度のレントゲン検査で診断できなければ再検査を

骨折の診断は、まず動物の体を触って診察する、触診を行います。同時にレントゲン検査も実施します。触診とレントゲン検査は、整形外科領域では非常によく行われるスタンダードな検査です。

 

しかしペットの体を触っても、どこに痛みがあるのか判別しにくかったり、レントゲン検査を行ってもどこが骨折しているのか分かりにくいことがあります。そのようなときはレントゲンの撮影方法を工夫して、繰り返し撮影することがあります。例えば足を曲げてストレスをかけて撮影したり、角度を変えたりなど工夫します。

 

それでも分からないときは、1、2日おいてから再度撮影することもあります。レントゲン検査を1回行って何も異常がなかったからといって「薬を飲んで様子をみましょう」と帰してしまうと、あとから症状が悪化して、治療が難しくなってしまうケースがあるからです。

 

レントゲン検査を1回やってみて症状の原因が分からなくても、翌日や翌々日に再検査をすると明らかに腫れが強くなっていたというケースもあります。

 

そのため歩行などになんらかの症状が出ているときは、主治医と相談して原因を探るための検査をしっかり行うべきだと考えます。

 

 

中村 泰治

獣医師

 

 

 

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※本連載は、中村 泰治氏の著書『もしものためのペット専門医療』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

もしものためのペット専門医療

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中村 泰治

幻冬舎メディアコンサルティング

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