生存率50%、ペットの腎不全…「高い救命率を期待できる」驚きの治療法【獣医が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

血流の低下や中毒症状など、さまざまな原因によって引き起こされるペットの腎不全……場合によっては数時間で死に至ることもあるという恐ろしい病気です。しかし現在、これまでと比べて高い救命率を誇る、画期的な治療法が存在すると、獣医師の中村泰治氏はいいます。獣医師として数々の動物の命と向き合ってきた中村氏が、ペットの腎不全について、原因と最新の治療法を解説します。

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数時間~数日間で急激に悪化する「急性腎不全」

【腎不全】

――【気になるサイン】

・食欲低下

・嘔吐、下痢

・尿が出ない

・大量の水を飲み、大量の尿を出す

 

腎臓の働きは、血液のなかから体で不要になった老廃物を、尿を介して体外に排泄する、体の電解質バランスや血圧を調節するといったものです。いわゆる体の恒常性を保つ重要な臓器です。その他にも赤血球を増やすホルモンを作ったりもしています。

 

心臓からでた血液の約25%が腎臓へ送られ、その血液を原材料に尿を作ります。

 

また腎臓と腎臓から尿を膀胱に運ぶ尿管、尿を溜めておく膀胱、尿を排泄する尿道などをまとめて泌尿器と呼びます。

 

なんらかの原因で腎臓の機能が衰えた状態を「腎不全」と呼びます。

 

腎不全には、急激に腎臓の機能が低下する「急性腎不全」と時間をかけて機能が低下する「慢性腎不全」があります。

 

急性腎不全とは、なんらかの理由で腎臓の機能が数時間〜数日の間に急激に低下する病気です。腎臓の機能が低下すると、尿とともに老廃物を排出することができなくなって、体の中に老廃物が溜まっていきます。

中毒の原因に…猫は「ユリの花」犬は「ぶどう」に注意

原因は大きく分けて3つあります。

 

1つ目は、腎前性といって、腎臓への血流が低下することで引き起こされるものです。心臓病のほか、出血や脱水などによって、体のなかを流れる血液量が低下した場合に起こります。

 

2つ目は腎性で、腎臓そのものの障害によって引き起こされるものです。例えば、感染症やなんらかの中毒物質によって腎臓に障害が出たりするケースがこれに当てはまります。

 

中毒物質にはさまざまな物がありますが、例えば猫であればユリ科の植物で中毒症状を起こすことが知られています。猫にとってはユリ科の植物は猛毒で、花瓶の水をなめるだけで死に至ることがあります。

 

代表的なユリ科の植物は、ユリ、チューリップなどです。猫を飼っている人は室内にユリ科の植物がないようにするなどの注意が必要です。

 

犬であれば、ぶどうで中毒を起こすことがあります。生のブドウだけではなく、レーズンなど干しぶどうでも中毒症状を起こすことがあるので注意が必要です。

 

なかにはぶどうを食べても中毒症状を起こさない犬もいますが、反対に1粒口に入れただけで腎障害を起こしてしまうケースもあります。

 

感染症では、レプトスピラ感染症という病気がよく知られています。レプトスピラとは、人間にも動物にも共通して感染する細菌の病気です。レプトスピラに感染したネズミの尿や、レプトスピラに汚染された水を舐めたり触ったりすると感染します。

 

感染すると、腎臓や肝臓に障害が起こります。犬での感染例が多く、猫ではあまり見られません。また、温かい地域での発症が多くなっています。

猫に多い尿管結石・尿道閉塞

3つ目を腎後性といい、尿管から尿道にかけて結石がつまることで尿が排泄されず、腎臓に影響が出てしまうケースです。つまった部位により、尿管閉塞、尿道閉塞と呼びます。

 

尿管結石や尿道閉塞は、一般的に猫に多いことが知られています。猫はもともとあまり水を飲まないため、尿が濃くなり、尿中の成分が、結石の元になる結晶になりやすいのです。結晶化した尿が砂粒となり、やがてそれが結石となって問題を起こします。

 

症状としてはグッタリとするような、元気・食欲の低下や嘔吐、下痢があります。

 

尿管に石がつまっている場合には、抱き上げたり、触ると痛がることもあります。

 

結石ができてしまった場合、放っておいて石が排出されることもありますが、食事や薬で溶かしたり、溶けない場合は手術によって取り除く必要があります。

 

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獣医師

1995年日本大学卒業。獣医師。
得意とする科目は、一般外科、腎泌尿器科、脳神経科。
師匠の教えである「見る・触る・聞く」の初心を忘れずに「異変にいち早く気づく」姿勢と大学病院のような高度な検査や治療を両立することで
「少しでも助けられる命を増やしたい」を信念としている。

著者紹介

連載現役獣医師が解説!ペットの「命」を救う高度医療

※本連載は、中村 泰治氏の著書『もしものためのペット専門医療』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

もしものためのペット専門医療

もしものためのペット専門医療

中村 泰治

幻冬舎メディアコンサルティング

飼い主のペットに対する健康志向が高まるにつれて、動物医療に対して求められることは多様化し、専門的な知識が必要とされてきています。 動物病院は多くの場合、1人の医師が全身すべての病気を診る「1人総合病院」状態が一…

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