(※写真はイメージです/PIXTA)

父親のミスで無効となった遺言書。そこには「長男に財産の4割を」との記載がありましたが、継母とその子たちは納得せず、遺産分割は膠着状態に。そのまま15年もの時間が経過しましたが、父親の意思通りに財産を相続したいと考える長男の胸に、ある思いがよぎります。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

取り分を増やすために、継母が亡くなるのを待つ!?

森本さんは父親の意思通りにするのが妥当だと考えていますが、ほかの相続人からは理解を得られていません。そればかりか、業を煮やした弟から「これからは弁護士に依頼して進める」との連絡を受けてしまいました。

 

いまのところ弁護士からの連絡はありませんが、森本さんはいっそのこと、継母が亡くなるまで遺産分割を引き延ばせば、自分の法定割合が多く確保できるのではないかと思い始めているとのことです。

 

継母が存命中の現在は、配偶者に半分の権利があります。継母が相続したあとは、実子である弟・妹に財産が渡るのは目に見えています。森本さんはそれを避けたかったのです。

意見のごり押しは親族関係を悪くするだけ、譲歩も重要

少しでも多く相続したいという森本さんの意向は理解できます。しかし、それではさらにきょうだい仲をこじらせるだけです。

 

そもそも、継母がいつ亡くなるかはだれにもわかりませんし、その間、相続人全員がストレスを抱えて生活することになります。森本さんは恨みを買うばかりで、なにもいいことがありません。

 

筆者は、森本さんに少し譲歩するよう促し、これ以上の無用な対立の解消と、親族間の信頼関係回復の道を探ったほうがいいとアドバイスしました。

 

森本さんは、「僕が譲歩するしかないということですか…」と、まだ少し納得しかねる様子でした。

 

そもそも今回の問題は、森本さんの父の遺言書に不備があったことが発端です。せっかく遺言書を作成しても、記載にミスがあれば無効扱いとなり、すべてが水の泡になってしまいます。遺言書の作成を考えている人は、この点をしっかりと踏まえておく必要があります。

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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