新築介護包括型:お勧めは1ユニット5戸、2ユニット
新築の介護包括型グループホームの場合、1棟につき個室は10戸までとする縛りがあります。しかし、1住戸につき個室が7戸を超えると基本支援金を5%減らされる仕組みがあり、注意が必要です。
障がい者グループホームは、入居者が自分たちの生活を自分たちで決めて生活していくことに意味があります。例えばお風呂の順番や食事当番などですが、人数が多くなればなるほど「決めること」が困難になります。また世話人や生活支援員にとっては、人数が多いと入居者一人ひとりに対する関わりが薄くなってしまいます。そのため生活単位であるユニット1つにつき定員を5人とし、同一の建物の1階と2階に2つユニットをつくることで、グループホームとして本来あるべき姿にし、収益的にもペイするものになるのです。
1つの建物の中に7人を超える(8人以上の)人がいるため、5%の減算対象にはなりますが、理論的には9人以上の入居者がいれば採算は取れます。
包括型を1棟建てる場合に必要な敷地面積は60~80坪で、延床面積は57~120坪程度です。もし敷地面積が120坪以上あるのであれば、2棟建てることを検討してもよいと思います。
日中サービス支援型:1棟20戸まで、短期入居用も用意
日中サービス支援型グループホームは、1棟につき20戸までの居室と、短期入居のための部屋を設置します。包括型グループホームの入居者よりも重度の障がいのある人が入居することから、廊下は車いすが通れるくらいの幅が必要になります。
また2階建ての場合でもエレベーターは必須ではありませんが、設置しておいたほうが入居する人の間口は広くなります。24時間スタッフが常駐することが必要になるため、夜勤や宿直をするスタッフのための仮眠室も設置します。
必要な敷地面積は160~200坪。延床面積は140~160坪となります。
グループホームに必要な消防設備とは?
グループホームは建物の分類上、寄宿舎または児童福祉施設等となるため、消防設備が必要です。それも障がいの区分によって異なるため、それらをよく理解している建設業者に頼まないと、あとから「必要なものがない!」という事態にも陥りかねません。
包括型・日中サービス支援型ともに必ず設置しなければならないものとしては、
①消火器
②誘導灯
③自動火災報知設備
があります。自動火災報知器は家庭用のものでは対応できないので注意が必要です。
障害支援区分や面積で設置が義務付けられる消防設備
障害支援区分4以上の入居者が8割以上いるグループホームに義務付けられているのが火災報知設備とスプリンクラーです。
なお、障害支援区分によらず床面積が500m2以上のグループホームも火災報知設備の設置が義務付けられていますが、現実的に考えて1棟10室の包括型グループホームで500m2を超えるということはあり得ないので、設置義務対象外となります。
なお、スプリンクラーは2階建て以上で床面積6000m2以上の場合のみ、設置が義務付けられています。しかしながら、現実的には施設の規模にかかわらず強く推奨される面があり、役所でのヒアリングで前述の児童福祉施設等ということになればほぼ設置しなければいけない状況です。そのあたりも事情を理解していない建設業者に頼まないと思わぬ出費となることもあります。
岩崎 弥一
アルカスコーポレーション株式会社 代表取締役
南砺市商工会 副会長
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