(※画像はイメージです/PIXTA)

障がい者グループホームを運営するにあたり、運営サイドが理解しておくべき重要事項のひとつとして「障害支援区分」があります。これにより、人員配置やサービス内容、支援者に求められる資格の有無などが異なってきます。具体的な内容を見ていきましょう。

必要人員…運営する事業者が確保・配置すべき人員は?

介護包括型・日中サービス支援型ともにグループホームを運営する事業者が確保・配置すべき人員は次のとおりです。

 

①管理者

サービス提供に必要な知識や経験をもっている人で、施設の管理者です。グループホームを管理するうえで支障がなければ、同一事業所のほかの職務(次に挙げるサービス管理責任者など)やほかの事業所・施設との兼務もできます。

 

②サービス管理責任者

入居者の支援に関する総責任者です。実務経験や都道府県が行う研修の受講など、一定の要件を満たすことが求められます。

 

業務内容は入居者の個別支援計画の作成や、グループホームで働いている人の技術指導、関係機関との連絡調整などです。

 

必要な人数は、利用者の数によって異なります。

 

利用者が30人以下の場合…1人以上

利用者が31人以上60人以下の場合…2人以上

 

サービス管理責任者になるには、相談支援業務や直接支援業務の実務経験が必要です。

 

出典: サービス管理責任者になるには?資格の取り方や要件を解説 | 就労移行支援事業所チャレンジド・アソウ
[図表1]サービス管理責任者の資格要件 出典:サービス管理責任者になるには?資格の取り方や要件を解説|就労移行支援事業所チャレンジド・アソウ

 

〈相談支援業務の場合〉 

 

以下のいずれかの業務に5年以上従事していること

1.施設などでの相談支援業務(障がい児相談支援事業・障がい者支援施設、市町村役場など)

2.就労支援に関する相談支援の業務(障がい者職業センター・生活支援センターなど)

3.特別支援教育の進路相談・教育相談の業務(盲学校・特別支援学校など)

4.保健医療機関での相談支援業務従事者で、社会福祉主事任用資格保有者や訪問介護
員2級以上に相当する研修修了者、国家資格の保有者など

5.都道府県知事が認めた業務

 

〈直接支援業務の場合〉

 

実務経験のみで資格要件を満たす場合……以下のいずれかの業務に8年以上従事していること

1.施設や医療機関などでの介護業務

2.障がい者雇用事業所での就業支援業務

3.職業教育業務(盲学校・ろう学校・特別支援学校)

4.都道府県知事が認めた業務

 

社会福祉主事任用資格を有する場合……右記の業務に5年以上従事していること

 

国家資格保有者の場合……以下の2点を満たしていること

 

1.先述の相談支援業務・直接支援業務の従事期間が通算3年以上

2.国家資格による従事期間が通算3年以上

 

*国家資格:医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士

 

③世話人

資格要件はありません。

 

業務内容は入居者の食事づくりや健康管理、お金の管理の援助、相談に応じるなど。世話人は入居者にとっては最も身近な存在です。

 

必要な人数は常勤換算(週40時間労働で換算)した場合、利用者6人に対して世話人1人以上です。

 

④生活支援員

障害支援区分3以上の入居者がいる場合に必要な人員です。

 

業務内容は食事や入浴・排せつ時の介護など。資格要件はありません。必要な人数は利用者の障害支援区分によって異なります。

 

障害支援区分3の場合…利用者9人に対して1人以上

障害支援区分4の場合…利用者6人に対して1人以上

障害支援区分5の場合…利用者4人に対して1人以上

障害支援区分6の場合…利用者2・5人に対して1人以上

 

となっています。

 

障がい者グループホームの人員基準は、認知症グループホームに比べるとゆるくなっています。

 

また認知症グループホームでは、採用時に介護職員初任者研修修了者(以前のホームヘルパー2級に相当)や介護福祉士などの資格を求めているケースが多く見られますが、障がい者グループホームの場合、そもそもサービス管理責任者以外には資格要件がありません。

 

どちらが求人しやすいかというと、圧倒的に障がい者グループホームのほうです。世話人をされている方の中には、定年退職したあと「年金だけでは生活費が足りないので、どうせなら世の中の役に立つ仕事をしたい」という動機でいまの職に就いたという方が少なくありません。


 

(厚生労働省の資料をもとに作成)
[図表3]配置すべき人員 (厚生労働省の資料をもとに作成)

 

 

岩崎 弥一
アルカスコーポレーション株式会社 代表取締役
南砺市商工会 副会長

 

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