(画像はイメージです/PIXTA)

近年では、離婚や再婚をする方が増えてきました。しかし、それによって親子関係や相続関係が複雑化し、血縁から受け継いできた遺産が思わぬ方向へ相続されてしまうリスクがあることも、資産家の方は忘れてはなりません。具体的な対策はあるのでしょうか。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

母の再婚相手が「母から相続した財産」はどうなる?

世の中、年間25万組の夫婦が離婚しているということですから、年間50万人の方が離婚しているわけです。しかも人生100年時代といわれるほど寿命も延びていますから、一度離婚して、再婚する方も増えています。

 

再婚した場合の相続について見ていきましょう。

 

健司さんの財産は、ほとんどが妻である陽子さんから相続した財産だとします。その場合、健司さんが亡くなったあと、だれが相続することとなるのでしょうか。

 

健司さんと前妻の博美さんの子である裕一さんが相続するとすれば、健司さんは裕一さんとは縁が切れていて、大介さんと一緒に暮らしているのに、縁が切れている裕一さんが2億5000万円もの大金を相続するとなり、おかしいようにも思えます。しかも、健司さんの2億5000万円は陽子さんから相続したものなので、なおさらおかしいように思えます。

 

しかし民法では、相続する際に、もともとだれの財産であるかは考慮されていません。

 

したがって、遺産がもともとだれの所有していたものであろうと関係がなく、もともと大介さんの母親である陽子さんの財産であったとしても、健司さんの財産となっているのであれば、健司さんの相続人に相続されることとなります。

 

したがって、「健司さんの遺産2億5000万円は、大介さんの母親である陽子さんから相続したものなので、健司さんが亡くなれば、陽子さんの子どもの大介さんが相続することになる」とする選択肢①は、誤りとなります。

 

次に、健司さんが、大介さんという子どもがいる陽子さんと再婚した場合、健司さんと大介さんは法律上の親子となるのでしょうか。

 

親と結婚したのだから、当然、子どもとも親子となると考える方も多いかもしれません。しかし法律は、親が結婚したからといって、当然のようにその子どもと親子関係になるとは規定していません。

 

したがって、健司さんが母親陽子さんと結婚しても、健司さんが陽子さんの息子である大介さんと養子縁組をしなければ、親子となりません。

 

よって、大介さんと健司さんは、法律上親子でなく、大介さんは健司さんが亡くなったときに相続人となれないのです。

 

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