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相続税申告後の税務調査の際に、申告内容で指摘を受けることがあります。特に相続税の場合には、事実関係の認識について双方の見解が食い違うことも少なくありません。もし税務署の主張に納得がいかない場合はどうすればいいのでしょうか。みていきましょう。

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審査請求とは行政上の救済制度

国税についての処分に不服がある場合、2つの法的手段を取ることができます。

行政上の救済制度について

審査請求は、税務署や国税不服審判所に処分の是正を求める、行政上の救済制度です。審査担当者は行政に携わる職員で、国税の場合には税務署や国税局、そして国税不服審判所の職員が審査をします。

 

税務署は国税局の下部組織であり、国税局と国税不服審判所は国税庁の下部組織です。国税不服審判所に在籍する職員の多くは税務署・国税局職員ですが、職員のなかには公募により税理士・公認会計士・弁護士など、民間出身の人も存在します。

 

なお、審査請求にかかる費用は無料です。

司法上の救済制度について

審査請求は行政に是正を求めますが、裁判は裁判所に処分の是正を求める、司法上の制度です。裁判所は独立した司法機関であり、最高裁判所が下した判決が調査結果に対する最終結論となります。

 

裁判を行う際は一般的には弁護士等を雇い、行政側(税務署など)と対峙して処分の是正を訴えます。注意点としては、審査請求とは異なり裁判の手続き費用や弁護士費用などを負担することになる点です。

国税の不服申立制度について

国税の処分に対して不服がある場合の不服申立制度は、2種類の方法が存在します。

税務署に処分結果の見直しを求める「再調査請求」

再調査の請求とは、税務調査を行った税務署に対し、再度調査内容の検討を求める制度です。再調査の請求を行う先は処分を下した税務署です。

 

ただし、処分に携わった担当者が、再調査の請求の担当者になることはありません。

審査請求とは国税不服審判所が調査内容を判断する制度

国税に対する審査請求とは、国税不服審判所に税務署(国税局)の処分の見直しを求める制度です。国税不服審判所は国税庁の組織の一つですが、特殊な立場にある機関です。

 

特徴としては、国税庁が示す『国税庁長官通達』による法令解釈に従う必要がない点。税務署や国税局職員は国税庁の下部組織であるため、必ず国税庁長官通達の法令解釈に基づいて税金の可否判定をします。

 

再調査の請求では法令解釈の適用が間違っていれば処分決定が覆ることがあります。しかし、法令解釈の考え方自体が覆ることはありません。

 

一方、国税不服審判所は国税庁長官通達に従う必要がないので、法令解釈の考え方自体を覆すことがあります。ですので、法令解釈に納得ができない場合には再調査の請求ではなく、審査請求を行う必要があります。

 

なお、不服審判所の裁決は行政部内の最終判断です。税務署側にとって不利な結論になった場合でも、税務署側から訴訟を起こされることはありません。

審査請求の手続きをしないと裁判は起こせない

国税に関する処分については、審査請求前置主義が採用されており、裁判を行う前に審査請求をする必要があります。

 

ですので、最初から司法判断を仰ぐことはできません。

次ページ相続税の審査請求の申請方法について

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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