倒壊寸前・共有名義…難アリ不動産の相続人、赤字覚悟で「解体費用1千万円」に立ち向かう理由【司法書士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

近年マスコミ等でもしばしば取り上げられる空家問題。地方の過疎化や不動産登記が義務ではないといった社会的・法的背景はもちろんだが、相続人たちのその場しのぎの短慮な遺産分割が、年月を経て、次世代以降に想像を超える負債となってのしかかることがある。多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士の近藤崇氏が、実例をもとにわかりやすく解説する。

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母が父から相続していた、「父の生家の持分1/3」

ある日、自身のマイホーム購入の際の登記や、父親の相続手続きをお手伝いした良平さん(仮名)から、久々の電話をいただいた。

 

近況をお話しいただいたあと、用件を伺うと「また、相続の手続きをお願いしたいのですが…」とのことだった。今度は良平さんの母親が亡くなったとのことだ。

 

数年前に亡くなった良平さんの父親、三郎さんの相続の際の記録を見直してみる。

 

北国生まれで男ばかりの3人兄弟の末っ子だった三郎さんは、大学進学後、都内の上場企業に就職し、定年まで勤めあげた。相続財産は横浜市内の一軒家、そして数千万程度の金融資産等だ。相続税の申告も必要な方だったので、比較的富裕層であったといえるだろう。このほかに、良平さんの祖父から受け継いだ生家である北国の実家不動産につき、祖父が亡くなったのち、3人兄弟で共有登記がされており、この持分3分の1を相続する登記も行わせていただいた。

 

このときは、横浜市内の不動産は同居していた良平さんが相続し、北国の不動産の「持分」は亡き母親が相続、預貯金など金銭財産は母親と良平さんたち子ども2名で分割する遺産分割協議をした。相続税の課税対象でもあったため、小規模宅地の特例などを適用させる必要もあったからだ。

 

良平さんの父親、三郎さんの生まれは、雪深い地方の県庁所在地だ。三郎さんの生家は、駅前の商店街にある。古い地場の商店が軒を連ねる、いわゆるアーケード街にある3階建ての店舗兼住宅だ。父親のさらに父、つまり相談者の良平さんの祖父が亡くなった際、子ども3名で3分の1ずつ、3名の共有名義で不動産登記がなされていた。

 

登記記録を書き起こすと下記のようになる。

 

(持分3分の1)太郎 借金などの問題があり、行方不明。戸籍上は存命。

(持分3分の1)次郎 すでに死亡しており、相続人が4名。相続登記は未登記

(持分3分の1)三郎 → 今回亡くなった良平さんの母親

 

良平さんの父親の相続の際にも事情を聞いたが、「祖父が亡くなった際、すでに祖母も亡くなっていた。父のきょうだい3名で話し合ったようだが、実家では親の商売を継いでいた太郎さんが住んでいた。そのころには商売があまり上手くいっていなかったようだ。ほかに分ける金銭もあまりなかったので「とりあえず、きょうだいだからという理由で3等分の相続登記だけしたらしい」とのことだった。

 

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司法書士法人近藤事務所 代表司法書士

司法書士法人近藤事務所ウェブサイト:http://www.yokohama-isan.com/
孤独死110番:http://www.yokohama-isan.com/kodokushi

横浜市出身。横浜国立大学経営学部卒業。平成26年横浜市で司法書士事務所開設。平成30年に司法書士法人近藤事務所に法人化。

取扱い業務は相続全般、ベンチャー企業の商業登記法務など。相続分野では「孤独死」や「独居死」などで、空き家となってしまう不動産の取扱いが年々増加している事から「孤独死110番」を開設し、相談にあたっている。

著者紹介

連載現場第一主義の司法書士が語る「相続のリアル」ここだけの話

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