「在宅血液透析」いいことずくめの詳細
在宅血液透析を受けている人のほとんどが「自分の自由な時間で透析ができる」ことをメリットの1つに挙げています。
施設透析はどうしても時間の拘束が患者の大きな負担になります。
「自由になる時間が少なくなる」
「もっと趣味に打ち込める時間が欲しい」
「家族や友人と出かける予定が立ちにくい」
――こうした時間のやりくりにまつわる悩みは、施設透析での患者につきものです。
しかし在宅血液透析なら、自分の生活スタイルに合わせて、透析スケジュールを組むことができます。時間の融通が利くだけではありません。
施設血液透析は、保険適用になる上限が月14回まで、と決まっていますが、在宅血液透析では何回行っても治療費は追加されません。連日や隔日での透析も可能です。施設血液透析よりも、回数や時間を多くすることができるため、しっかりと、十分な量の透析ができるのです。
施設血液透析では、透析を行わない日は水分や老廃物、過剰なリンやカリウムを体内にためておくことになります。それゆえに、食事制限を厳しくして、体に負担を掛けないようにしなければなりません。
しかし在宅血液透析なら、その日のうちに摂取した水分、リンやカリウム、尿毒素を、透析で取り除くことが可能ですから、その分食事制限が緩くてすむのです。
また、毎日リンやカリウムの除去ができますから、リン吸着剤、カリウム吸着剤といった薬の量を減らすこともできます。つまり、施設血液透析よりもずっと、生体の腎臓に近い機能を得られる、というわけです。
繰り返しになりますが、透析は頻回かつ緩やかであるほうが、老廃物を取り除く効率が良く、体調の変動も少なくてすみます。生体の腎臓は毎日24時間働いているわけですから、在宅透析で施設透析よりも回数、時間とも増やして行うほうが、それにより近い働きができるのは明白です。そして、長期的には予後の改善も期待できるとされています。
「楽にできて、体に優しく、予後も良くなる」いいことずくめの透析方法が、在宅血液透析なのです。
鈴木 孝子
南青山内科クリニック 院長