医師自身が「うつ病」「自死」を選んでしまう実情
加えて精神医療では、そのような精神科医の努力が必ずしも報われるとは限りません。うつ病や躁うつ病、統合失調症などの精神疾患の場合、症状が悪化し、自死を選択するという最悪の展開を迎えることも残念ながらあります。この場合、患者に寄り添い親身になる医師ほど、医師自身が燃え尽き症候群やうつ病などを発症するリスクが高まります。
このように心身が疲弊して離職していく医師たちを私自身たくさん見てきました。実際、医師の自殺率は一般人の2倍で、科別では精神科医が上位にくるという統計データもあります。
結局、現状の保険診療の枠組みのなかでは、短時間の診察で回転率を上げるか、それを良しとしない医師はボランティア同然の診察で疲弊する、という極端な選択に偏らざるを得ないのです。
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問題意識をもった小椋氏は、診療がボランティア状態になることなく、経営が圧迫されることもなく、健康保険の枠組みのなかで患者に十分な診療の時間を提供できる、という独自の診療モデルを活用したクリニック設立を目指し、実現させることになります。
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小椋 哲
医療法人瑞枝会クリニック 院長