(※写真はイメージです/PIXTA)

ペット禁止として賃貸借契約をしたはずの物件で、借主がペットを飼っていた際、貸主が契約違反による解除を求めても、認められる場合と認められない場合があります。この可否はどのように決まるのでしょうか。今回は、賃貸・不動産問題の知識と実務経験を備えた弁護士の北村亮典氏が、実際にあった裁判例をもとに解説します。※本記事は、北村亮典氏監修のHP「賃貸・不動産法律問題サポート弁護士相談室」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。

 

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禁止事項に違反しても、解除が認められるわけではない

【賃貸オーナーからの質問】

私は一軒家を所有していますが、転勤でしばらく住まないので第三者に貸すことにしました。

貸している間に家が傷むのを避けるため、賃貸契約書には禁止事項として「承諾を得ないで、犬、猫等の小動物の飼育又は一時的持込みをしてはならない」と規定しました

しかし、貸してからひと月も経たない内に、借主がフェネックギツネという小型のキツネを飼っていることが判明しました。

すぐに文書で「ペットの飼育は止めて欲しい」と通知しましたが、借主は「家族同然のペットなので物件内で飼育は続けたい」というばかりで、何ら対応しませんでした。

そのため、契約違反として解除通知を出したところ、借主から「小さいキツネであり、近隣に迷惑をかけるおそれはなく、しつけも十分にしており、本件建物の内部を汚損していないから、信頼関係は破壊されていない」などといって、解除を争ってきています。

私の解除の主張は認められるのでしょうか。

 

【説明】

貸主側の意向として、借主のペットの飼育に伴い物件が損傷することを懸念して、

 

「禁止事項 賃借人は、賃貸人の書面による承諾を得ないで、犬、猫等の小動物の飼育又は一時的持込み(近隣に迷惑を及ぼすおそれのない観賞用の小鳥、魚等を除く。)をしてはならない」

 

等と契約書に規定し、かかる禁止事項に違反した場合は解除できるとまで定める事例は実務上多く見られます。

 

このような特約自体は法律上禁止されるものではありませんが、ここで問題となるのは、本件の事例のように、借主がペット飼育禁止に違反し、これを理由に貸主が契約解除を求めた場合であっても、「信頼関係破壊の法理」が適用されて解除が認められない場合もある、という点です。

 

すなわち、賃貸借契約の解除の可否は「信頼関係破壊の法理」により判断されますので、形式的にペット禁止条項違反に該当したからといって解除が認められるわけではなく、契約違反が当事者間の信頼関係を失わせる程度のものかどうか、という点でさらに検討を要することとなるわけです。

 

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