※画像はイメージです/PIXTA

相続税の小規模宅地等の特例では、住民票のある住所と実際に住んでいる場所が違う場合に適用できるのかどうかが問題になることがあります。よくあるケースごとにどのように適用となるか、みていきましょう。

住民票を移してもどこに住んでいるかは調べられる

被相続人や相続人がどこに住んでいるかについて、相続税の実務では「住民票と違うところに住んでいても税務署にはわからないのでは?」ということをよく聞かれます。しかし、税務署は下記のような項目を調査して実際にどこに住んでいたかを判定します。

 

●水道・電気・ガスの使用状況

●郵便物の宛先

●運転免許証に記載の住所

●勤務先に届け出ている住所

●電車の通勤定期券の区間

 

これらの内容を調べられるだけでなく、場合によっては近所の人への聞き込み調査も行われます。住民票を移すといった表面的な対策をしても、実際にどこに住んでいたかは簡単に突き止められてしまいます。

適用可否の判断は難しい場合も

被相続人や相続人の住民票が実際の住まいと違う場合は、住民票の住所ではなく実際に住んでいる場所をもとに小規模宅地等の特例が適用できるかどうかを判断します。形式的に住民票を移すだけではそこに居住していたことにはならないため注意が必要です。なお、老人ホームへの入居や単身赴任などの事情がある場合は、もともと住んでいた家に居住していたことにして判断します。

 

生活の拠点が複数ある場合は、小規模宅地等の特例が適用できるかどうかの判断が難しくなります。そういった場合の相続税申告は、相続税に詳しい税理士に依頼することをお勧めします。

 

相続税申告の中でも小規模宅地等の特例は特に税額へのインパクトが大きく、適用可否の判断を誤ってしまうと過大な申告や税務署からの指摘による加算税に繋がってしまうためです。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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