なんと…「何気なく入ってみた」すべて計算だった!
■看板が動線を作り出す
AIDMA(Attention、Interest、Desire、Memory、Action)を踏まえる看板戦略は、簡単に言えば、集客したいお客さんの動線を作り、誘導することです。お客さんは、「何気なく看板が目に入った」「だから、ちょっと飲んでいこうと決めた」と思うかもしれません。
しかし、看板を出す側から見れば、看板がお客さんの目に留まったことも、そこから店前、店内に誘導したことも、すべて計算で成り立っています。周知、認知、来店、入店という動線を作るために、戦略的に看板を置き、見せているわけです。
ここでは居酒屋を例に挙げましたが、AIDMAを踏まえた動線作りは、業種、業態、店や会社の規模が変わっても流用できます。メガネ店であれば、大型や中型の看板でメガネ店の存在を周知しておくことにより、「メガネが壊れた」「すぐに直したい」という状態になった人に「そういえば駅前にメガネ店があったな」と想起してもらえます。
美容院も同様に、常日頃からおしゃれなファサードを見せておくことで「そろそろ髪が伸びたなあ」と感じている人を引き付けられます。店前のスタンド看板で料金表やカットメニューなどを見せることで、「この店なら安心して切ってもらえそうだ」と感じさせ、入店を促すことができます。大型店舗やチェーン店は、大きな街道沿いや駅のホームなどに目立つ看板を出しているケースがよく見られます。
これもAIDMAのAttentionに当たる戦略で、車を運転する人や電車で通勤する人に認知され、集客に結び付いています。
越智 一治
有限会社オチスタジオ 代表取締役