(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅金融支援機構が公表しているデータによると、現在、25人に1人が住宅ローンの返済に問題を抱えているとのこと。ここでは、クラッチ不動産株式会社代表取締役・井上悠一氏が実際に受けた滞納問題の「相談事例」について解説します。

「不動産投資失敗」で自己破産に追い込まれた30代

Dさん〈大阪市在住/職業:会社員/年齢:30代〉

 

○不動産……タワーマンション

 

○他債務……不動産投資失敗による債務3000万円程度

 

○住宅ローンの残額……6000万円程度

 

○実勢価格…7000万円程度

 

Dさんは、投資物件の失敗により投資物件の任意売却を他社でされたあと、ご相談に来られました。

 

兵庫・大阪・京都にワンルームマンション5部屋を所有されていましたが、いずれも利回りの非常に悪い「負動産」であり、投資不動産会社に騙される形で購入されていました。

 

ワンルームマンションは空室になる頻度が高く、そのたびに貯金から手出しでローンを返済されていましたが、ついに貯金も底を突き、投資物件のマイナスを補えなくなりました。そこで、投資物件をすべて任意売却することにしたようです。

 

しかし、自宅のタワーマンションは人気マンションで購入時より値上がりしており、オーバーローンではなく売却すれば余剰金が出る状況でした。そこに目を付けた、ワンルームマンションで抵当権を設定していた債権者が「差押え」を申し立ててきたのです。

 

5部屋の債権者は別々の方でしたので、他の債権者も「参加差押え」をしてきました。自宅マンションについては、住宅ローンを滞納することなく支払っていましたが、住宅ローンの債権者から売却して返済するように迫られていたようです。

 

寝耳に水で困り果てたDさんは、奥さまにもまったく事情を説明せず、慌てて相談に来られました。不動産投資に失敗し任意売却になったとしても自宅は滞納もないため、「自宅だけはなんとかなる」と思っていたようです。しかし、債権者が多く差押えをしてきたため、すでにどうしようもない状況となっていました。

 

7200万円で任意売却し、返済できない債務が2000万円程度残りましたので、自己破産する選択をされました。

 

まだ小さいお子さまがおり、タワーマンションへの愛着がありましたが、リースバック(※)・親子間売買(※)などの方策も取れなかったため、賃貸マンションに引っ越されました。

 

※ リースバック…不動産会社・金融会社・投資家などに自宅を売却し、買主から自宅を賃貸する方法。所有権を移転するため「自分のもの」ではなくなるが、賃料を支払って住み続けることができる。

 

※ 親子間売買…住宅ローンが残った自宅を、子どもや兄弟、叔父叔母、姪甥などに売却すること。単に、親子間、親族間で不動産を売買するだけでなく、売却後も元の所有者が自宅に住み続けることができる。

 

有名企業にお勤めで、収入も安定されていましたが、不動産投資にはまり、不動産会社に言われるままワンルームマンションを買い足していった末の自己破産となってしまいました。

 

 

井上 悠一

クラッチ不動産株式会社 代表取締役

 

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※本連載は、井上悠一氏の著書『あなたを住宅ローン危機から救う方法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

あなたを住宅ローン危機から救う方法

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井上 悠一

幻冬舎メディアコンサルティング

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