写真:PIXTA

世界的に原油をはじめとした資源価格が高騰しているなか、それがインフレとして跳ね返っているという動きになっています。このことはフィリピン株式市場にどのようなインパクトを与えるのでしょうか。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターである家村均氏がレポートします。

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資源価格高騰で注目集まる「フィリピン銘柄」

 

原油価格高騰にニュースの注目が集中していますが、実は様々な電子部品や建設に使われる銅の価格も上がっています。

 

コロナの発生により、世の中がどんどんDX化に進んでいる中で、電子機器には欠かせない銅の需要が増えています。また、経済再開の動きと、ドテルテ政権が残り半年近くになる中、「ビルド・ビルド・ビルド」「リンク・リンク・リンク」政策の推進のなかで、インフラ建設や不動産開発などの建設も再開してきています。

 

また、世界最大の銅生産国であるチリでは、ここ数ヵ月、コロナ・パンデミックの間、労働者たちは公平な扱いを受けていないということで労働争議が起きていて、銅の生産・供給が滞っていて、世界への供給のボトルネックになっています。このような銅価格上昇の流れの中で、銅のマイニング会社「アトラスマイニング(AT)」は、長期的に恩恵を得られる銘柄として期待されています。

 

同じように産業需要と建設需要によって、長期的な価格上昇が見込まれているのがニッケルです。特にニッケルは電気自動車に使われるバッテリー材料にもなりますので、世界的なEVシフトの恩恵を受けます。「テスラモーター」の業績も好調で、株式時価総額が1兆ドルを超えました。

 

時価総額1兆ドル越え企業は、いわゆる「GAFAM(グーグル、フェースブック、アップル、アマゾン、マイクロソフト)」だけです。つまり電気自動車が産業の中心になってきました。ちなみにかつて世界一の自動車メーカーであった「トヨタ」の株式時価総額はドル換算で0.3ドルと「テスラ」の三分の一です。

 

このニッケル相場の恩恵を受けるのが、「ニッケルアジア(NIKL)」です。そして、化石燃料として需要減退するとみられていた石炭価格も中国を始め世界的な経済再開による急激な電力需要増により価格が上昇しています。

 

11月1日、2日にイギリス・グラスゴーで第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開催されるなか、長期的な流れとしての再生可能エネルギーへのシフトが止まることはありません。しかし現実問題として目の前の電力需要をまかなえないなか、しばらく石炭への需要は続くとみられています。この最大の受益者は「セミララマイニング(SCC)」です。

 

同社は、マイニングと発電事業者という2つの顔を持っています。生産した石炭のほとんどを自社の石炭火力発電所で使用しています。自社の発電所に供給して余った石炭を、中国を中心に海外に輸出するというビジネスモデルです。

 

フィリピンでは、新規の石炭火力発電所の建設は、もう認可されませんので、既存のプレーヤーが残存者利益を享受する構造になっています。このような状況のなかでの、石炭相場の上昇で、10月に入ってから「SCC」の株価は急騰しています。ただ株価的にはオーバーバリュー感はあります。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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