「新しい事業を始めるとき、さまざまな課題が浮かび上がるが、それを箇条書きにしてみても、ものは考えられない。課題の大小、相互の関係、全体像などを解析するためには、図でとらえなければならない」──。セコムの創業者である飯田亮氏(現・取締役最高顧問)は、久恒氏のインタビューにこう答えたといいます。なぜ、図解思考のほうがうまくいくのでしょうか。※本連載は、久恒啓一氏の著書『50歳からの人生戦略は「図」で考える』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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「文章至上主義」と「箇条書き信仰」から脱しよう

この連載の目的は、人生鳥瞰図を作成することによって、自分の人生の棚卸しを行い、壮年期に向けて新たな人生戦略を立て、ライフデザインを描くことにあります。

 

人生鳥瞰図の作成の仕方については別稿で述べますが、そこで紹介するのは、人生鳥瞰図の基本的なモデルです。自分の人生鳥瞰図は、それを参考にしながら、自分で描いていくことになります。

 

そこで、必要になるのが、「図解思考」です。

 

図解によって、ものごとの全体の構造をとらえ、何が本質的に重要であるのか、ものごとの本質的な意味を明らかにするのが図解思考です。

 

一般的に ものごとを簡潔に整理して理解したり、考えたり、相手に伝えようとしたりするときに、多くの人が用いるのが文章と箇条書きです。しかし、文章はごまかしがきく。そして箇条書きでは大小、重なり、関係がわからない。

 

会社内で次々と作成される報告書、企画書、稟議書、連絡書など、「書」と名のつくものは、おおよそすべてが文章化されています。社会に出て仕事をするうえで、「文章を上手に書けることが重要なスキルである」と、少しも疑わずに仕事をしていた人が大部分でしょう。

 

しかし、文章を書き、それをもとに議論すると、細かな言葉の使い方などに深入りすることになって疲弊し、徒労感に襲われることも多い。「文章至上主義」といってもいいでしょう。

 

また、書いた本人も、ものごとを構成する「重要なポイント」などを箇条書きにすると、わかりやすく整理されたような気がするので、箇条書きを自明のこととして多用してしまう。「ビジネス文書は箇条書きにするもの」と信じて疑わない。これはまさしく「箇条書き信仰」といってもいいでしょう。的確に「理解し、考え、伝える」ことができるというビジネスの基本的な条件を満たすうえで、箇条書きには大きな欠点があるのです。

 

それは、ひと言でいえば、箇条書きで列挙された各要素の関係性が明確に示されないということです。それぞれの要素がどうつながり、全体とどんな関係があるのかが不明確である。それが、的確に理解し、考え、伝えることを阻害してしまう。

 

「文章至上主義」と「箇条書き信仰」から脱却することが必要です。

 

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50歳からの人生戦略は「図」で考える

50歳からの人生戦略は「図」で考える

久恒 啓一

プレジデント社

「人生鳥瞰図」で仕事も人生もうまくいく! 大人のためのキャリアデザインの教科書。 私は日本人の「アタマの革命(図解)」と「ココロの革命(遅咲きの人物伝)」の二つをライフワークとしている──。 こう語るのは、…

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