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「覇気のない秀才たち」65歳で直面する悲しい現実
50歳前後の「中年の危機」を乗り越えたとしても、壮年期と実年期の境目の65歳のころにも、危機が訪れます。「第2の中年の危機」です。
昨年、郷里の大分県中津市で久しぶりに開かれた中学校の同窓会に出席しました。参加した旧友たちを観察していると、70歳にして意気盛んなのは小さいながらも会社を経営している自営業者や医師たちで、いわゆる秀才タイプでそれなりの会社に進み、定年退職して、いまは何もしていない連中は総じて元気がありませんでした。
経営者や自営業者や医師たちは、壮年期から実年期に入ってからも、地域に根ざしながら、それぞれライフワークを追求し続けているのに対し、覇気のない秀才たちは「公」から離れた途端、学習歴も経験歴も積み上がることなく、「個」としての存在意義があいまいになってしまったのでしょう。
というよりも、それまで「公」の世界で仕事を続けながら「私」の世界はともかくとしても、「個」としての存在意義への自覚が希薄なまま退職に至ったといったほうがあてはまるかもしれません。
だから、65〜70歳で「公」の世界から離れると、自分は何のために生きるのかという「個」としての自己を意識することもなく、惰性で日々の生活を送るようになる。
日々の生活でのライフが、生涯を通じての人生のワークにつながることもなければ、次世代に残すワークにもならない。ライフワークの喪失。それが、第2の中年の危機です。
しかし、50歳前後で中年の危機を回避することができた人は、第2の中年の危機も回避することができます。キャリア2期目の壮年期の生き方は、3期目の実年期の生き方につながるからです。
その中年の危機を回避し、壮年期に活き活きと仕事人生のなかでライフワークを追求するために必要なのが人生の棚卸しによる「人生鳥瞰図」の作成なのです。
人生戦略を立て直し、ライフデザインを描き直すとき、大きな判断の基準になるのは、「自分にとっての豊かさとは何か」ということです。より豊かな人生を求めて人生戦略を立て直すとき、進む方向をどのように判断し、選択すればいいのか。
それには、経済、時間、肉体、精神の4つのキーワードがかかわってくるのです。
私たちの目指すべき生き方とはどのようなものなのか。どのような社会であれ、共通の目標になるのは「豊かな暮らし」でしょう。それは個人にとっても同じで、それを「幸せ」と感じます。