(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ感染拡大も落ち着きを見せている現在。「久しぶりにランチでも」と街を歩けば、飲食店の様々な看板が目に入ることでしょう。「この店に決めた!」と思ったとき、実は看板の“不思議なパワー”に引き寄せられているのかもしれません。看板製作会社「有限会社オチスタジオ」の代表・越智一治氏が解説していきます。

家系ラーメン「赤地に黒い筆文字の看板」が多いワケ

■店や会社をブランディングできる

 

どういう店で、どういう会社かを明らかにするということも看板の重要な機能です。ブランディングは、ブランド品という言葉から高級感の醸成を考える人が多いかもしれません。しかし、「この店は安い」「あの商品はコスパがいい」などと認知されることもブランディングの成功例です。

 

その視点から見ると、マクドナルドや吉野家はブランディングの成功例といえます。

 

「マックはこういうお店です」「吉野家はこんなお店です」と説明しなくても、「安くておいしい店」であることが全国的に認知されているからです。赤地に黄色のMの看板や、オレンジ色に黒文字の看板が、ブランディングによって作り出した「安くておいしい店」が「ここにあります」というメッセージを道行く人たちに向けて発信します。

 

文字によって「どういう店か」「どんな商品を扱っているか」を伝えて、店や会社のイメージを周知していくこともできます。

 

分かりやすい例が、ドン・キホーテの「驚安の殿堂 ドン・キホーテ」という看板です。驚くくらいの安さがウリであることが分かりますし、「殿堂」が大きく、広い建物を連想させますので、看板を見た人に大型のディスカウントショップであることが伝わります。ここまで直接的なメッセージを書かない場合でも、看板の色やデザインなどでどんな店か伝えることができます。

 

街中にある家系ラーメンの店が好例です。このタイプのラーメン店は、赤地に黒い筆文字の看板を掲げることが多く、どの店の看板も目立ちます。ゴテゴテしている看板から、ラーメンもこってりしていて、具材が大きめのラーメンが出てくるだろうとイメージできます。あっさりしたラーメンを食べたいと思っている人が、この看板を見て「ここに入ろう」と思うことはまずありません。

 

つまり、家系ラーメンの看板は、「うちは濃厚なラーメンを出す店です」と伝えるブランディングの役目を果たしているわけです。看板によってどんな店かが伝われば、どんな店か知ってもらうための広告費や販促費が抑えられます。「安くておいしい店」を探している人や「濃厚なラーメン」を食べたいと思っている人が自然と集まり、集客コストも抑えられます。

 

 

越智 一治

有限会社オチスタジオ 代表取締役

※本連載は、越智一治氏の著書『看板マーケティング戦略』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

看板マーケティング戦略

看板マーケティング戦略

越智 一治

幻冬舎メディアコンサルティング

ピーター・ドラッカーは、マーケティングの理想は「販売を不要にすること」であると言いました。 つまり、営業マンが売り込みに走り回らなくても、商品やサービスが「自ずから売れるようにすること」が究極のマーケティングだ…

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