(写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、ニッセイ基礎研究所が2021年10月20日に公開したレポートを転載したものです。

3―ワクチンをすぐには接種したくない理由(7月時点)~「希望しない→予約・接種済」で、“様子見・順番待ち”、「希望なし(7~9月)」で“安全性への不安”“ワクチン不要”

まず、7月時点におけるワクチンをすぐには接種したくない理由について、(2)「希望なし→予約・接種済」と(3)「希望なし(7~9月)」を比較する[図表3]。

 

(3)は「副反応が心配だから」などの安全性への不安を理由とする人が多かったほか、「自分は感染しない、または重症化しないと思うから」「基本的な感染防止対策で十分だと思うから」などのワクチン不要と考える人の割合が高かったのに対して、(2)は「まだ予約券が届いていないから」「まだ家族や友人など身近な人が接触して問題がないことが確認できていないから」といった様子見・順番待ちをしている人が多かった。

 

このことから、ワクチン接種意向としては、「あまり/絶対に接種したくない」と回答しているという点では同様だったが、(2)「希望なし→予約・接種済」は、(3)「希望なし(7~9月)」と比べると、ワクチン接種をまったく検討していなかったわけではなく、周囲の接種の様子を見ていた人が多かったと考えられる。

 

[図表3]ワクチンをすぐには接種したくない理由
[図表3]ワクチンをすぐには接種したくない理由

4―感染による健康への影響に関する不安~「適切な治療が受けられない」不安の有無でちがい

次に、この3か月間の新型コロナウイルス感染による健康への影響に関する不安の変化を[図表4]に示す。

 

「感染による健康状態の悪化」に関して、不安と感じている(5段階評価の「非常に不安」または「やや不安」)人の割合は、7月時点で既に差があり、(2)「希望しない→予約・接種済」が55.2%、(3)「希望なし(7~9月)」が43.8%と、(2)は(3)と比べて高かった。この割合は、9月には、順に59.1%、48.1%と、いずれも4ポイント程度上昇した。

 

国内の感染状況と見比べると、7月の調査と9月の調査の間にこれまででもっとも感染者が多かった感染の第5波があったことから、感染の不安を改めて強く感じたものと考えられる。

 

つづいて「感染しても適切な治療が受けられない」に関して、不安と感じている人の割合は、7月時点で(2)「希望なし→予約・接種済」が42.2%、(3)「希望なし(7~9月)」が42.8%と、(2)と(3)に差はなかった。

 

ところが、9月には、順に57.1%、45.2%であり、(2)が15ポイント上昇したのに対し、(3)は2.4ポイントの上昇にとどまり、(2)と(3)に差ができていた。この3か月間は、自宅療養中に死亡した事例や、救急搬送ができなかった事例が多く取り上げられ、重症化しても治療が受けられない懸念が広がった。

 

[図表3]のとおり、(2)は(3)と比べると、「自分は重症化しない」と考えている割合は低く、治療ができない不安が特に高まったと考えられる。

 

[図表4]不安を感じる割合の変化(「非常に不安」または「やや不安」)
[図表4]不安を感じる割合の変化(「非常に不安」または「やや不安」)

 

次ページ5―ワクチンを接種した理由(9月)~「予約・接種済(7~9月)」で自分や周囲のリスク軽減と「打つものだと思っていた」。「希望なし→予約・接種済」では家族の勧めや不利益をこうむりそう、周囲の接種状況

本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

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