養老孟司「心筋梗塞が見逃されていたかも」現代医療の怖い欠点

東京大学名誉教授で、執筆活動も盛んな医学博士・養老孟司氏。「病院嫌い」の先生は、コロナ禍の2020年6月、実に26年ぶりに東大病院を受診し、中川医師により心筋梗塞を発見されました。しかし病院嫌いは変わらないようです。かつての医療と現在の医療の違いを同氏が語ります。 ※本連載は、書籍『養老先生、病院へ行く』(エクスナレッジ)より一部を抜粋・再編集したものです。

 

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医師選びのポイントと「病院に行きたくない」ワケ

医者選びの基準は「相性」です。現在の医療は標準化が進んでいますから、基本的に誰が主治医になっても同じ治療が行われます。

 

一方、人には好き嫌いがあるので、相性が重要です。夫婦や、教師と生徒の関係にも似ています。

 

もう1つ、医者選びは自分と価値観が似ているかどうかも重要です。例えば、もう延命は望まないと思っているのに、主治医が延命を勧めたら、ストレスになってしまいます。

 

もう治療はここまでという私に対し、じゃあこのくらいにして、あとは様子を見ましょう、と言ってくれる医者でなくてはいけないのです。

 

こんな私と相性や価値観の似た医者というのはあまりいないのですが、中川さんはその期待に応えてくれたと思います。大変、お世話になりました。

 

相性のよい中川さんに診てもらったことで、大きなストレスを抱えることなく、病院にいることができました。また中川さん以外の医師や看護師の対応もよかったと思います。

 

しかし、できることなら病院に行きたくないという思いは変わりません。中川さんに対しては意地悪な言い方になるかもしれませんが、現代医療を受けるということは、現代医療のシステム全体に組み込まざるをえないからです。

 

現代医療は統計が支配する世界です。例えば、がんの5年生存率という言い方があります。5年生存率は、がんが治ったと見なされる数字です。患者さんから集められたこうした数字をデータとして集め、情報化するのが現代医療です。いわゆる医療のIT(インフォメーション・テクノロジー)化、そして目指すのは医療のAI(人工知能)化でしょう。

東京大学名誉教授 医学博士
解剖学者

1937年、神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。

95年、東京大学医学部教授を退官後は、北里大学教授、大正大学客員教授を歴任。京都国際マンガミュージアム名誉館長。

著書に、毎日出版文化賞特別賞を受賞し、447万部のベストセラーとなった『バカの壁』(新潮新書)のほか多数。

著者紹介

東京大学大学院 医学系研究科 特任教授 医学博士

1960年、東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業後、同大学医学部放射線医学教室入局。

社会保険中央総合病院放射線科、東京大学医学部放射線医学教室助手、専任講師、准教授を経て、現在、東京大学大学院医学系研究科特任教授。2003年〜2014年、東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。

共・著書に『医者にがんと言われたら最初に読む本』(エクスナレッジ)多数。

著者紹介

連載養老先生、病院へ行く

養老先生、病院へ行く

養老先生、病院へ行く

養老 孟司
中川 恵一

エクスナレッジ

あの「あの病院嫌い」の養老先生が入院した!? 自身の大病、そして愛猫「まる」の死に直面した養老先生が、「医療」や「老い」「大切な存在の死」とどう向き合うかなど今の時代のニーズに合致しつつも普遍的かつ多様な書籍で…

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