なぜ不動産経営では「専門家」の力を借りる必要があるのか?

前回は、入居者募集等を委託する不動産会社の選び方について説明しました。今回は、本業ではない不動産経営を円滑に運営するためのポイントを見ていきます。

入居者獲得の各段階必要になる専門家のノウハウ

空室を優良な入居者で埋めるためには、広告、値付け、審査、契約と入居者獲得までの各段階それぞれに専門家のノウハウが必要です。

 

ノウハウが必要なのは入居者獲得だけではありません。景気の悪さを反映してか、最近、悪質な滞納や占有が増えていますが、これらへの対処にも専門家のノウハウが必要です。口頭で督促しても支払わず、そのまま占有し続け退去しないような場合には、早期に手を打つ必要があります。

 

具体的には早々に内容証明を送り、最悪、裁判になった時にも勝ちやすい状況をつくったうえで、弁護士や司法書士といった専門家に依頼することです。払いたくないと逃げ回る相手に対しては口頭で督促しても効果がないことがよくあります。一般の人は法律的な知識、経験に乏しいこともあり、手をこまぬいているうちに時間が経ってしまうというケースが大半です。そして、そのうちにも家賃の損失はどんどん膨れ上がってしまいます。

 

そうなってから専門家の手を借りても、入居者から滞納家賃全額を取れないケースもありますから、滞納ははじまった時点ですぐに対処するのが大事です。とはいえ、他に本業を持っているオーナーなどの場合、どうしても後手後手に回ってしまいがちですし、不動産経営が本業という場合でも、法律の専門家でなければ躊躇しているうちに時間が経ってしまうのはよくある話です。

 

同様に原状回復についても、早急な対応が重要です。入居者の孤独死もこのところ、増えている問題です。相続人が分からない状態で亡くなってしまうと、未収の家賃が回収できないうえに、残置物の処理に困ります。当然、内装工事をすることも、次の入居者を迎えることもできませんから、その部屋から得られるはずの賃料も得られずじまいになります。

 

しかし、これも専門家に委託していたら、問題にはなりません。管理の専門家であれば、こうした場合に取るべき手続きは分かっていますから、孤独死の場合でも、通常の退去同様に原状回復を行い、次の入居者へとスムーズに貸すことができるのです。また、どういった場合に借主に請求できるのかなど、経験値と知識のある専門家に任せるのが何よりも安心です。

 

本業を持つ人が自分で管理している場合には、クレーム対応だけでも面倒なことです。特に本業の営業時間内や深夜の時間帯にクレームの電話をもらった場合にはそもそも対応ができません。「カギを忘れた」「エアコンが効かない」など緊急対応が求められることもあります。対応できないでいるうちに、設備が故障していることなどを理由に賃料を払わないなどという人が出てくることもあります。

 

また、対応が遅れたことでクレームがさらに拡大、収拾がつかなくなることや、退去につながることもあり得ます。近年は不備があって引っ越すのだから、引っ越し代を負担してほしいなどと要求する入居者などもあり、設備機器の作動がおかしいというようなささいなことでも、クレームの対応には手が抜けません。

 

クレームに限らず、管理は100%対応できるのが当たり前であって、99%ではダメ。1%の不足が退去や引っ越し代請求、滞納などにつながるなど、決して油断はできないのです。そう考えると、入居者への対応は即応できる専門家に任せたほうが安心というわけです。

専門家の知恵を上手に活用するのが賢い経営者

不動産経営では、建物の維持管理も大事ですが、こちらもやはり専門家の手を借りたほうがよい場面が多くあります。たとえば、建物や設備のメンテナンスの際には多額の出費が必要ですが、建物、設備の専門家でない限り、ひとつひとつの単価が適正かどうかは判断ができません。

 

その結果、不当に高い金額で発注してしまったり、必要のない工事をやってしまったりする危険性がありますが、これは建物、設備に詳しい専門家の手助けがあれば防げます。

 

また、長く経営を続けるためには適切な時期にメンテナンスをする必要がありますが、個人で行おうとする場合、修繕計画を立て、予算を計上するという作業は難しいのが現実。いつ、何の修繕をするのかや予算の想定ができないため、ここでも専門家による中長期修繕計画が必要ということになります。

 

経営をしている人であればお分かりだと思いますが、どんなビジネスでも経営者がすべての分野を専門家として把握しているケースはほとんどありません。経理は経理で専門家を雇っているでしょうし、製造業であれば現場にはその道の専門家がいて製造工程をチェックしているでしょう。同様に広告は広告、総務は総務などと担当者がいるはずです。

 

ところが、不動産経営の場合にはそれほど頻繁に作業がないことからか、誰にでもできる作業と思われているためからか、経営者自らが指示を出し、作業などに携わっているケースが少なくありません。しかし、経営という観点で考えると、他のビジネス同様、その仕事に適切な専門家を雇う、あるいは委託するのが効率的なはずです。これから不動産経営を考えるのであれば、信頼できる専門家をビジネスパートナーとして選び、その知恵を上手に活用するのが、賢い経営者のすることではないでしょうか。

株式会社みらい経営 代表取締役

昭和47年浜松市生まれ。名古屋大学卒業後東海銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。法人融資担当から大手企業での上場準備経験を経て、平成15年財務支援コンサルタントとして株式会社みらい経営を創業。資金調達、事業再生、資産形成支援、承継支援、不動産流動化支援と事業を順調に拡大。
平成16年には不動産賃貸・管理業務の株式会社アットイン設立に参加、経営に携わり平成26年にグループ化。経営・財務コンサルティングから動産・不動産活用・管理までワンストップで対応できる総合力を強みに、現在グループ5社を率いている。

著者紹介

連載30年後も子孫が「資産家」であり続けるための不動産活用術

本連載は、2015年1月23日刊行の書籍『大増税時代に資産を守る富裕層の不動産活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書を利用したことによるいかなる損害などについても、著者および幻冬舎グループはその責を負いません。

大増税時代に資産を守る 富裕層の不動産活用術

大増税時代に資産を守る 富裕層の不動産活用術

磯部 悟

幻冬舎メディアコンサルティング

日本の富裕層のほとんどは土地を所有している地主です。先祖から受け継いだ土地を保有し、それを活用することで資産を守ってきました。ところが土地の値下がりや固定資産税の上昇、そして相続税により多くの富裕層が危機に立た…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧