前回は、長期的な不動産経営には「専門家チーム」の関与が不可欠な理由を説明しました。今回は、将来も収益を生み続ける「よい不動産」を子孫に承継する方法を見ていきます。

住む人の幸せを考えない不動産は収益を生まなくなる

不動産は生き物のようなもので、手をかければかけただけ収益が上がります。空室を嘆くオーナーの物件を見に行ってみると分かりますが、そういうオーナーの物件は蜘蛛の巣だらけだったり、汚れた室内がそのままにされているものも多く見受けます。自分が住むのではないから、それでも平気なのでしょうが、住む人のことを考えない物件はいずれ淘汰されます。

 

古くてもきちんと手を入れ、対象を絞り込んだ物件づくりをすれば成功します。築40年以上の物件でも適切な手を入れ、利用法を検討し、愛情を注げば生き返るのです。不動産が足りなかった時代には物件がどのような状態でも借り手はいましたし、収益だけしか考えずに不動産経営をしていても何とかなりました。

 

しかし、時代は確実に変わっています。収益だけを考えた狭い部屋ではいくら新築でも入居者は見つかりません。古くなっていけばなおさらです。住む人の幸せを考えない不動産は空室になり、収益を生まなくなります。資産を50年後、100年後にも子孫に残すためには社会性のある、よい物件をつくることが求められているのです。

 

娘や息子、孫の立場から考えても同じことがいえます。狭くて汚い、周りから白い目で見られるような物件を受け継ぐよりも、古くなっても選ばれる物件や社会的にも評価され、必要とされて誇りと思えるようなビジネスを受け継ぐほうがうれしいはずです。

 

これから不動産経営をはじめるのであれば、そうした視点からビジネスパートナーを選ぶことも大事です。空室だらけのアパートや狭くて選ばれない物件をつくっている相手とではそうした物件はつくれません。どんな思想で、どんな物件を経営しているのか、そのあたりをよく見極めることが大事です。

最重要課題は「資産の維持」と「子孫への承継」

また、ここで大事なことは不動産の管理、運用はそれ自体が目的ではないということです。本連載は不動産の活用がテーマですから、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、不動産の活用はそれを所有する人の幸せを生み出すための手段です。

 

オーナーが不動産をうまく活用することはもちろん重要ですが、それだけが目的ではありません。自分の資産を維持し、子孫に伝えることが最重要課題なのです。不動産を道具としてうまく使い、それによってオーナーと子孫が幸せになること、それが大事なのです。

 

ですから、ビジネスパートナーに求めるべきは、不動産だけを活用することではなく、資産全体を子孫の代に至るまでの長期的な視野で見渡し、必要なアドバイス、提案が行えることです。不動産をうまく活用することはもちろんですが、その収益で資産全体を維持するだけでなく、増やすような運用ができることが大事です。

 

もし、そのような形で不動産を活用できれば、不動産は代々にわたって収益を生み、資産は承継されます。他の事業は人に任せて不動産だけで生活をしていくことも十分に可能です。不動産にはそれだけのポテンシャルがあり、運用次第で可能性が広がります。先祖代々の資産を子孫に承継するためには、ぜひとも不動産を活用していくことをおすすめします。

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    本連載は、2015年1月23日刊行の書籍『大増税時代に資産を守る富裕層の不動産活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書を利用したことによるいかなる損害などについても、著者および幻冬舎グループはその責を負いません。

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    磯部 悟

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